9 APEC(アジア太平洋経済協力)


 アジア太平洋地域における経済関係の緊密な協力を図り、地域の一層の発展に資するため元年に発足したAPECは、6年11月のボゴール宣言により2010/2020年までの域内の自由で開かれた貿易と投資が目標とされた。7年11月の大阪会合では、ボゴール宣言のための具体的道筋を示す「大阪行動指針」が策定され、8年11月のフィリピン会合では、具体的行動を記した「マニラ行動計画」が策定された。さらに、9年11月のヴァンクーヴァー会合では、各メンバーの行動計画を改訂し、ロシア、ヴィエトナム、ペルーの3ヶ国が新たに参加することが決定した。

(1) 運輸ワーキンググループの動き

 8年11月の第10回会合において、我が国の提案により港湾専門家会議が設立され、港湾開発や効率的な管理・運営等6つのテーマが確定した。9年4月の第11回会合において決定された各テーマ毎の作業内容及び実施計画に従って作業が進められており、10年4月の第13回会合においては、「港湾データベース」が完成した旨報告され、現在、同データベースの充実に向けて作業が進められている。
 また、第10回会合において我が国の提案により設立された「海運イニシアティヴ」においては、APECにおける海事全般の活動について、参加メンバー共通の目標、枠組みを明文化したミッション・ステートメントが第13回会合において採択された。現在、海運政策等に関する情報交換を目的として我が国が提案した「透明性確保のプロジェクト」について作業が進められている。
 その他、域内の政府系研究機関、研究内容等のリストを作成すべく我が国主導で「運輸技術研究データベース」を推進している。また、自動車及び同部品の基準・認証制度の調和の可能性、手法等の調査活動に関する「道路輸送調和プロジェクト」、効率的で統合された複合一貫輸送システムの調査報告に関する「インターモーダルタスクフォース」等のプロジェクトにも積極的に対応している。

(2) 観光ワーキンググループの動き

 9年10月にカナダのケベックにおいて第11回会合が行われ、さらに10年5月に韓国の済州において第12回会合がそれぞれ行われた。
 両会合においては、APEC域内における将来観光需要、観光の経済効果、観光促進についての障壁等に関する検討を中心として議論が行われた。


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