自動車事故被害者の救済のためには、強制保険である自動車損害賠償責任保険(自賠責)について、公正、かつ、公平な損害調査及び保険金(共済金)の支払いが求められるが、昨今、被害者死亡事案に係る事故状況の調査、被害者の過失の認定のあり方等につき問題点が指摘されてきた。
このため、運輸省では、自動車保険料率算定会(自算会)及び自賠責を取り扱う損害保険会社、共済組合を指導し、10年4月から、次のような被害者救済対策を実施させている。
対策の内容は、(1)被害者死亡事案で加害者を無責とする場合等は、弁護士の参加する「自賠責保険有無責等審査会」で審査を行う、(2)後遺障害に係る等級認定困難事案で自算会の認定に対し異議申立てがあった場合等は、専門医の参加する「自賠責保険後遺障害審査会」で審査を行う、(3)異議申立てに対する最終的な審査機関として自算会以外の第三者のみで構成される「自賠責保険有無責等再審査会」及び「自賠責保険後遺障害再審査会」を設置する、(4)被害者等に対する情報開示及び情報提供を充実する、であり、運輸省では、これらを通じて自」動車事故被害者の保護が十分に図られることを期待している。 一方、自動車事故によりいわゆる植物状態となった重度後遺障害者の治療・介護を行う「療護センター」(自動車事故対策センター)については、10年度に「中部療護センター」の整備に着手している。
なお、10年4月から、全国自動車共済協同組合連合会(全自共)が新たに自賠責共済事業に参入している。
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