(1) トラック輸送の現状と課題
トラック輸送は、その利便性・機動性の良さから我が国の物流全体の5割強(平成8年度・トンキロベース)を占める等物流の中核を担っており、貨物運送事業用自動車の占める割合は年々増加傾向にある。
しかしながら、貨物運送事業を取り巻く環境は、近年、燃料価格・高速道路料金の値上げ、利用者ニーズの高度化・多様化による輸送コストの上昇、交通渋滞、騒音・NOxに代表される都市環境問題、CO2を中心とした地球温暖化問題及び運転手の高齢化、労働時間の短縮等多くの課題を抱えており、迅速かつ積極的な対応が求められている。
(2) トラック輸送を巡る諸課題への取組み
物流コストの削減や環境問題の改善を図るため、共同輸配送及び幹線共同運行等の輸送の共同化の推進、トレーラ化・車両の大型化の推進を図るとともに、求車・求貨情報システムの普及支援やITS(高度道路交通システム)のトラック事業への活用方策の調査・研究等の輸送の情報化に取組んでいる(第1部第2章及び第2部第3章参照)。
(イ) 輸送の安全の確保
トラック輸送は、道路という公共的な空間を利用して提供されるサービスであり、輸送の安全の確保は至上命題である。このため、運輸省では、従来から貨物自動車運送適正化事業実施機関の活用等により、過積載や過労運転の防止等に取組んでいる。10年7月には重大事故の発生を防止する観点から事業用自動車の最高速度違反行為に対する行政処分等の基準を強化したところであり、今後とも輸送の安全の確保を図っていくことにしている。
(ウ) 労働環境の改善
トラック産業は、労働力の高齢化により若年層を中心とした構造的な労働力不足が深刻化しつつある。このため、9年4月から実施されている週40時間制の円滑かつ着実な定着に向けた各種取組みや省力化の推進等を通じて、トラック産業を魅力ある職場とすることにより、安定的な労働力の確保を図って行く必要がある。
(エ) 利用者保護対策の充実
利用者ニーズの高度化・多様化によるサービス形態の複雑化に伴い様々なトラブルが発生している引越運送に関し、苦情処理体制の拡充等利用者保護対策の充実を図ることとしている。
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