我が国は、食料の6割、エネルギー資源の9割をはじめ、経済社会活動に不可欠な物資の大半を海外に依存している〔2−8−1図、2−8−2図〕。こうした物資は重量ベースでその99.8%が、金額ベースで約8割が港湾を経由しており、昨今では、食料品のみならず電卓、カラーテレビ等、日常生活品の輸入も急増している。また、国内の貨物輸送分野においても、砂・砂利、鉄鋼、石油類等の物資を中心に、内航海運がトンキロベースで約4割を分担している。
近年、経済社会のグローバル化が進展し、企業活動の国際的な競争が進展する中、我が国の国民生活の安定、産業活動の健全な発展を図っていくためには、物流部門におけるコストの低廉化を進め、我が国産業の国際競争力の強化、多様な消費者ニーズの充足を図ることが重要である。こうした観点から、9年4月に閣議決定された「総合物流施策大綱」においては、物流に関して13年までに、国際的に遜色ない水準のコストやサービスの実現をめざすこととされた。
海運事業者をはじめとする港湾利用者は、より厳しい企業間の国際競争の中で、物流に対しより低廉でより良いサービスを求めている。
特に、コンテナ輸送を担う海運事業者においては、コンソーシアム(企業連合)の再編によるコストの削減及び多頻度の航路設定によるサービスの向上等競争力強化に向けた取り組みを行ってきている。その取り組みの中で、北米・欧州航路の再編成及び船舶の大型化により、日本の港に寄港する航路の便数は増えているが、その相対的割合は減少している。特に欧州航路においては、減少率が大きくなっている〔2−8−3図〕。今や港湾は、より低廉でより良いサービスを求める海運事業者等港湾利用者から「選択される」時代となっている。
一方、昨今の厳しい財政状況の中、9年11月に成立した「財政構造改革の推進に関する特別措置法」に従い、同年12月、第9次港湾整備五箇年計画を改定し、総投資規模を変更せず計画期間を五箇年から七箇年に延長することとした。これにより、今後の港湾整備においては、従来にもましてより効率的・効果的投資が求められることになった。具体的には、投資の重点化、費用対効果分析を含む総合的・体系的な評価の実施等による事業の透明性の確保、建設コストの縮減、他の施策・事業との連携、既存ストックの有効活用等に留意する必要があ
る。
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