(1) 投資の重点化
厳しい財政状況下において、わが国にとって必要な社会資本である港湾を適切に整備していくため、以下の3つの側面から重点化を推進し投資効果を高める。
国際競争力を有する物流ネットワークの形成に資する国際海上コンテナターミナルの整備、切迫する廃棄物問題に対応するための廃棄物海面処分場の整備等に重点投資する〔2−8−7表〕。
(イ) 施設の配置の拠点化
国際海上コンテナターミナルについては、外貿コンテナ貨物の国内輸送コストと国際海上輸送コストの合計の最小化を図る観点から全国に最適配置を行い、中枢・中核国際港湾に拠点的に配置する。
また、複合一貫輸送に対応した内貿ターミナルについては、内貿ユニットロードの陸上輸送コストと海上輸送コストの合計の最小化を図る観点から全国に拠点的に配置する。
(ウ) 投資の重点化
緊急性、投資効果の高い事業に予算を重点配分し、プロジェクトの早期供用、投資効果の早期発現を図る。この一環として、13年までに重要港湾の事業実施箇所数を26%削減、地方港湾の事業実施港数を37%削減する〔2−8−8図〕。
(2) 事業の透明性の確保
「運輸関係事業再評価検討委員会」(9年12月設置)での検討を踏まえ、港湾関係事業についても再評価システムを導入した。
(イ) 費用対効果分析の実施
10年度に事業実施予定の国際コンテナターミナル、多目的国際ターミナル、複合一貫輸送対応ターミナル、幹線臨港道路の整備について、費用対効果分析により投資効果を検証し、その結果を公表することにより、事業の透明性・客観性を確保する。
(3) 港湾関係事業における建設コスト縮減対策の推進
9年4月に策定された政府による「公共工事コスト縮減対策に関する行動指針」及び「運輸関係公共工事コスト縮減対策に関する行動計画」に基づき、設計法の見直しやリサイクル材の活用など工事に直接効果が現れる各種の取り組みを推進した結果、港湾関係事業(国の実施分)としては2.3%のコスト縮減となった。
10年度においても引き続き建設コスト縮減対策を積極的に推進し、11年度までの3年間に数値目標(6%、但し間接的な施策による効果を含めた行動計画全体の取り組みにより少なくとも10%以上)の達成を図ることとしている。
(4) 他の施策・事業との連携
円滑な港湾の利用の促進が図られるとともに効率的な総合交通体系の構築、地域活性化等に対応するため、「国際交流インフラ推進事業」「複合一貫輸送推進インフラ事業」「みなとづくりとまちづくりの連携」等他の施策・事業と連携した総合的な整備を推進する。
(5) 既存ストックの有効活用
利用効率の低下している施設や空間の再利用により、投資効率の向上と投資効果の早期実現を図る。
東京港、横浜港においては、既存岸壁の増深やヤードの拡大、耐震化を図ることにより、大水深化・高規格化されたコンテナターミナルの早期整備が進められている。10年度は東京港大井コンテナターミナルの一部が供用された。
(イ) 遊休化した民間・公社所有施設の有効活用
港湾内に存在する民間等施設を港湾管理者が買い取り、適切な改良を加えることにより公共利用に転用し、既存港湾ストックの有効活用を図る(神戸港PI地区、神戸港埠頭公社所有のバース等)。
(ウ) 既存静穏水域の活用(ボートパーク整備事業)
港湾など公共水域に放置された小型船舶(放置艇)を緊急かつ効率的に収容するため、運河、水路等の既存静穏海域などを活用した簡易な係留・保管施設「ボートパーク」の整備を10年度は姫路港、広島港等において実施する。
(エ) 港湾の再開発
港湾の面的広がりを持った再開発により、機能の再配置と高度化を図る効率的な整備を、10年度は高松港、長崎港、清水港等で実施する。