第2節 利用者利便の一層の向上に向けて


 昭和60年以前、航空産業の育成を目的として、航空各社(日本航空、全日本空輸、日本エアシステム(当時:東亜国内航空))の事業活動の分野が決められていたが、その後、航空需要は大幅に増大し、航空各社も発展を遂げてきた。このため、61年に「競争促進」へと政策が転換され、国際線の複数社化及び国内線のダブル・トリプルトラック化(同一路線への2社目、3社目の参入)の推進、日本航空の完全民営化が図られた。その結果、我が国をめぐる航空輸送は飛躍的な発展を遂げ、今日では国民生活及び経済活動にとって不可欠な輸送サービスとして定着してきている。
 国内航空の分野では、参入面ではダブル・トリプルトラック化基準が平成4年10月及び8年4月に緩和された後、9年4月に廃止された。また、価格規制についても、7年5月に営業割引の弾力化が、また、8年5月には幅運賃制度が実施され、規制の緩和が進められてきた。このような状況のもとで、8年12月には、自由競争の促進により交通運輸分野における経済活動の一層の効率化・活性化を図るため、航空をはじめとする交通運輸分野における需給調整規制を廃止する方針がとられ、航空分野では、11年度に需給調整規制を廃止することとされている。
 一方、国際航空の分野においては、米欧等の巨大航空企業による寡占化、国境を越えた企業間の連携等が進展しており、また、日米航空交渉の決着に伴い日米航空企業の地位の対等化等による一層の競争の激化が予想される。
 以上のように、国内・国際航空双方において競争環境の変革が進展しており、我が国の航空業界における経営の効率化の取り組みは勿論のこと、国としても利用者利便の向上の観点から、必要な方策を講じることが求められている。以下、具体的な取り組みについて述べることとする。


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