国内路線の複数社化を推進してきた昭和61年度〜平成8年度の約10年間に、国内の旅客輸送実績は約2倍近くの8,213万人にまで増加し、国民生活において身近な移動手段として、国内航空市場は大きな成長を遂げたが、利用者利便をさらに向上させるために、一層の抜本的な競争促進策の実施が近年強く要請されるようになった。そのため、いわゆる需給調整規制を廃止することにより、航空企業の自主的な経営判断に基づく事業展開を促進するとともに、新規会社の市場参入を容易化し、航空各社がより快適かつより安価な輸送サービスを提供するような競争環境を整備することとしたところである。
8年12月、運輸省は運輸事業全般について、需給調整規制の廃止を今後3〜5年後に実施する方針を決定した。これを受けて国内航空の分野では、11年度における廃止を目標として、10年4月、需給調整規制廃止に向けて必要となる今後の環境整備方策等の在り方につき、運輸政策審議会の答申がなされた。
需給調整規制の廃止に伴い、行政は、市場原理のみでは確保できない地域住民の生活に不可欠な生活路線等の航空運送サービスの維持や、安全な運航の確保に配慮しつつ、競争市場において公正かつ継続的な競争ができるようなルールづくりをめざすことになる。
具体的には、離島住民の足として生活に密着した役割を果たしている離島航空路線について後述のように支援を拡充する一方、スロット(発着枠)に制約がある混雑空港において、競争環境を整備するために、利用者利便を増進し、効率的な会社にスロットが配分できるような具体的なスロットの配分ルールを確立すべく、「スロット配分方式検討懇談会」で検討を行っている。
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