国鉄長期債務の処理の実施（１０．１０．２２）

　昭和６２年４月の国鉄改革により日本国有鉄道清算事業団に残された国鉄長期債務は、改革後に新たに負担したものも含め平成１０年首には約２７．７兆円に達し、清算事業団の土地や株式といった資産処分収入で金利や年金等の負担を賄いつつ債務の償還を行うというこれまでの処理スキームはもはや破綻するに至り、その処理の実施が緊急の課題とされた。
　こうした状況に対処するため、国鉄長期債務の処理方策の検討が、８年１１月から与党内で、９年１０月からは政府・与党で構成される財政構造改革会議で進められ、９年１２月１７日の財政構造改革会議において「国鉄長期債務及び国有林野累積債務の処理のための具体的方策」が決定された。
　政府は、９年１２月２５日、この決定に基づき１０年度より国鉄長期債務の処理の実施を図ることを閣議決定し、１０年２月２０日、「日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律案」を国会に提出した。
　同法案は、１０年１０月１５日に成立し、１０月２２日に施行された。同法により、(1)有利子債務（１０年度首１５．２兆円）の一般会計による承継、(2)無利子債務（同８．３兆円）の政府による免除、(3)国鉄改革時の年金等負担金（同３．５兆円）の日本鉄道建設公団による負担、(4)いわゆる厚生年金移換金（同０．８兆円）の鉄道公団及びJR等による負担等の措置が講じられ、清算事業団は１０年１０月２２日に解散した。