運輸省は都市交通問題を改善するために施策を講じているが、ここではその問題毎のこれまでの施策の概要を取り上げる。
1 過密状態の緩和
通勤通学混雑を緩和するため、都市交通審議会、あるいは運輸政策審議会等の関係答申に基づいて、大都市近郊におけるニュータウンの造成と連携した新線建設、都心における地下鉄網の整備、これらの相互乗り入れ等の都市圏における鉄道輸送力の整備を累次実施してきている。
道路交通渋滞への対応のため、鉄道、バス等の公共交通機関の利用促進、物流効率化等の施策を推進してきたほか、環状道路をはじめとした都市内道路網の整備、交通流円滑化等のための各種施策が行われてきた。
バス交通を都市部における中心的な公共交通機関として機能させるため、40年代以降、専用レーン・優先レーンの設置、都市新バスシステムの導入及びこれに係る補助などの施策を講じている。
3 安全の確保
45年に施行された交通安全対策基本法に基づいて交通安全基本計画が策定され、政府を挙げて交通安全対策を強力に推進している。現行の第6次計画においては、平成12年までに事故死者数を9千人以下とすることを目標としている。運輸省においても、事業用自動車の運行管理者に対する指導講習の改善等の運行管理制度の充実、車両の安全基準の拡充などの諸施策を講じているところである。
また、交通事故被害者の救済を実効あらしめるため昭和30年に自動車損害賠償保障法を制定するとともに、48年には自動車事故対策センターを設置し、施策を展開している。
4 自然災害への対応
都市交通における安全を確保するためには、地震、集中豪雨による地下洪水、土砂崩れ等の自然災害への対応が重要であり、関係方面の連携の下に各種の防災対策を実施してきている。
5 環境問題への対応(自動車排出ガス・騒音規制の強化)
40年代は大気汚染による被害や騒音被害が社会問題化するなど、我が国の高度成長の負の面が噴出した時代でもあった。自動車の排出ガスは、大気汚染の大きな原因となったことから、運輸省は現在に至るまで、排出ガス規制の強化に段階的に取り組むとともに、最新規制適合車への代替を促進するための税制優遇措置等を導入してきている。
また、50年度より電気自動車等低公害車普及のために、これらの取得に係る税制優遇制度を創設している。
さらに、平成4年に「自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」を定め、大都市部における自動車から排出されるNOx(窒素酸化物)の総量削減のための各種施策等を実施した。
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