1 鉄道の混雑緩和をはじめとした交通サービスの利便性・快適性の向上
今後、価値観の高度化・多様化、ゆとりや快適性への志向の高まり等により公共交通機関に対する期待は、利用しやすさなど質の向上に移行していくものと考えられる。こうした中で、鉄道混雑、情報不足を含む交通機関を利用するに当たっての様々なバリアをなくすバリアフリー化、乗継利便の向上のためのシームレス化等を強力に推進していく必要がある。
2 交通安全の確保と輸送障害防止・防災対策の推進
安全の確保は、都市交通政策の推進に当たっての最重要課題である。効果的な安全対策を講じていくためには、事故実態の把握に基づき、事故の低減目標の設定、対策の実施、効果評価といったサイクルを繰り返し行っていく必要がある。また、事業者、ユーザー、メーカー等に対する誘導的施策を併せて講じ、安全意識の高揚を図り、安全投資、技術開発の促進等を図っていくことも必要である。
都市鉄道において輸送障害が発生すると多くの利用者に多大な影響を与えることになるため、日頃の運行管理等を確実にするとともに、障害発生時の利用者への情報提供や早期復旧に万全を期する必要がある。
さらに、自然災害により、公共交通網が寸断されると都市機能が麻痺し甚大な被害が発生するので、災害に強い交通をめざす必要がある。
3 環境との共生
地域・地球環境問題等に適切に対応していくためには、輸送効率にすぐれ、環境への負荷の少ない公共交通機関の活用と利用促進を図っていくことが重要である。
また、物流についても、輸送の共同化、鉄道貨物輸送の活用等による環境配慮型のシステムを構築していく必要がある。
さらに、自動車全体の排出ガスの総量の低減を図るため、低公害車、低燃費車等への代替促進を推進していく必要がある。
4 自家用車と公共交通機関のバランスのとれた交通システムの形成
自動車交通の安全や自動車から排出されるCO2、NOx等の総量は、交通の量や円滑性と密接に関連している。このため、都市交通においては、自家用車と公共交通機関をバランスさせる交通体系の構築、都市内物流の効率化等により、自動車交通量の抑制、交通の円滑化を図る等、安全と環境に配慮した交通システムに変えていく必要がある。
5 公共交通サービスの安定的提供
都市における公共交通を担う事業者の経営環境は、引き続き厳しいものと予想される。こうした中で、事業者自らの一層の経営努力のほかに、バリアフリー化や輸送力増強等のための公的支援措置の充実について検討を進め、安全で良質な輸送サービスの安定的提供を確保していく必要がある。
6 都市交通と幹線交通の連携強化
高速交通体系の整備により幹線交通の部分で高速化、輸送力の拡充、サービス水準の向上等が図られてきたが、これらと都市内交通との連携強化を図り、利用者のドア・ツウ・ドアの円滑・迅速な移動を確保していく必要がある。
7 都市を支える物流機能の向上
都市は大生産・消費地であり、都市を発着する大量の貨物について効率的な輸送システムを確立することは、都市機能の維持確保に極めて重要である。また、環境問題や道路混雑への対応のためにも、トラック輸送の効率化を進める必要がある。
8 より良い街づくりとの連携
都市交通は街づくりを進めるうえで基幹的役割を果たすものであり、安全で円滑なモビリティの確保の観点から街づくりに対し新たな提案を行っていく必要がある。また、駅や交通ターミナルの高付加価値化が必要であり、周辺整備と一体となった拠点機能の充実を関係方面との連携協力により総合的に進める必要がある。
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