第2節 コンベンション等の誘致による交流拡大と国際競争力の強化


1 コンベンションの誘致による交流拡大

 コンベンションやイベントを誘致することは、これを契機に開催都市の魅力を参加者やプレス等を通じて内外にアピールすることができ、知名度向上や地域経済の活性化に貢献する。このため、近年、多くの都市において国際会議場やイベント用施設の整備、コンベンション推進機関の設立等が行われている。
 一方、我が国での国際コンベンションの開催件数は、欧米主要国に比べ低い水準にとどまっており、国を挙げて誘致に取り組んでいるアジア諸国にも遅れをとるおそれがある。このため、運輸省としては、コンベンション法に基づき、国内49都市を「国際会議観光都市」として認定しており、認定された都市に対しては、国際観光振興会により国際会議主催者に対する援助等を行っている。また、官民で組織する日本コングレス・コンベンション・ビューロー(JCCB)では、関係者が一体となり、コンベンションの誘致支援、人材育成等の各種事業を推進している。


2 イベント等の開催による交流拡大

 地方公共団体においては、大型イベントの開催により、交流拡大とこれによる地域活性化を図る動きが盛んである。例えば、福岡市では、元年のアジア太平洋博覧会以来、アジア関係のイベントを継続的に開催し、アジアとの交流を図っている。この結果、アジア諸国との空路、海路も拡充され、九州へのアジアからの来訪者が増加し、九州のゲートウェイ都市としての福岡の発展と交流拡大が進んでいる。また、名古屋市では、11年度を「なごや交流年」とし、様々なイベントを開催し、交流拠点都市・名古屋のアピールを行うこととしている。特に、名古屋は、ものづくりの歴史と伝統を有する地域であることから、生産工程を公開し、地元への理解を深めてもらう「産業観光」に力を入れている。
 運輸省としても、「地域伝統芸能全国フェスティバル」、「旅フェア」、「広域連携観光振興会議(WAC21)」等のイベント開催を支援している。
 また、21世紀に入ると2002年(平成14年)のワールドカップ、2005年(平成17年)の愛知万博とビッグイベントが開催され、訪日外客も増加するが、一過性に終わらせることなく、その後の観光交流の持続的拡大につなげることが重要である。このため、運輸省としても、「ワールドカップ開催を契機とした国際観光振興戦略会議」を発足させ、具体策を検討のうえ、実施することとしている。

3 都市の観光交流面での国際競争力の強化

 訪日外客数は、出国日本人数の約4分の1と不均衡な状態が続いており、世界各国における外国人旅行者受入者数と比較しても、我が国は世界32位と極めて低い水準にある。今後、外客誘致を図るためにも、観光交流面での国際競争力の強化を図る必要がある。
 運輸省としては、国際観光交流の拡大を図るためのトータルプランとして、8年にウェルカムプラン21(訪日観光交流倍増計画)を策定するとともに、外客誘致法により、移動や滞在のしやすい環境づくりを推進している。このほか、我が国都市の観光交流面での国際競争力を強化していくためには、交通運輸の面においても、国際的な水準を視野に入れたハード(交通インフラの整備)・ソフト(わかりやすい交通情報の提供、利便性・快適性の向上等)両面からの整備が必要である。


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