第1章 最近の運輸概況


1 国内・国際経済の動向と運輸活動

 平成10年度の国内旅客輸送量は、841億人(対前年度比0.7%減)、1兆4,243億人キロ(同0.4%増)となった。輸送機関別に見ると、航空は輸送トン数、輸送トンキロともに増加であったものの、自動車は輸送人数は減少したものの輸送人キロでは増加、鉄道、旅客船は輸送人数、輸送人キロともに減少した。


 10年度の国内貨物輸送量は、63億9,790万トン(同4.2%減)、5,515億5,000万トンキロ(同3.0%減)となった。輸送機関別に見ると、航空は輸送トン数、輸送トンキロともに増加であったものの、自動車、鉄道、内航海運は輸送トン数、輸送トンキロともに減少した。


 10年の国際旅客輸送量は、出国日本人数、訪日外客数ともに減少した。
 10年の国際貨物輸送量は、我が国の海上貿易量、航空貨物輸送量が輸出入ともに減少した。
 11年度に入ってからは、国内景気の改善とアジア経済の回復等により、国際物流、出入国者数等を中心にプラスに転じるなど回復に向けた明るい兆しが現れている。

2 運輸における経済対策

 運輸事業者の10年度収支は、事業の効率化等により増益となる事業者も出てきている。しかし、景況感は若干改善しつつも依然厳しいものとなっており、11年度の設備投資計画は、対前年度比13.9%の減少となっている。さらに、資金調達状況も厳しい。
 こうした中で、運輸事業における中小企業対策として、中小企業信用保険の限度額の拡充、中小企業の範囲拡大による公的融資の拡充、中小企業投資促進税制の創設等の施策を実施している。雇用対策としては、雇用調整助成金制度、労働移動雇用安定助成金制度等を活用することにより、失業なき労働移動への対策を強化している。
 政府としては、景気の早期回復のため、10年4月、総事業費16兆円超の総合経済対策を策定し、その着実な実施を図るとともに、11年度に向け切れ目なく施策を実行できるように、第3次補正予算に基づいて、各種事業を実施してきた。運輸省としても、関西・中部国際空港等の拠点空港の整備、中枢・中核港湾の整備及び次世代航空保安システムの整備等の景気回復に資する対策を実施してきた。
 このような景気対策が奏功し、我が国経済はここのところやや改善しつつある。今後も引き続き景気回復に向けて、全力を尽くすために、運輸関係社会資本の重点的・効率的な整備による内需拡大等を内容とする12年度概算要求を行ったところである。


3 公共事業の改革

 運輸関係社会資本の整備にあたっては、効率性・透明性の向上をより一層推進する必要がある。運輸省では、11年3月に、省内に事務次官を本部長とする「運輸省公共事業改革等推進本部」を設置し、事業評価、コスト縮減及び投資の重点化・施行対策に対し一元的に取り組んでいる。 事業評価については、新規に採択する事業に対する評価や事業採択後一定期間を経過した事業に対する再評価の実施に当たり、評価方法や評価の実施手続きを定めた。これに基づく11年度予算の再評価結果では、92事業中29事業について中止又は休止を決定した。さらに、事業完了後の「事後評価」についても、試行することを含め検討を進めている。
 コスト縮減に関しては、「運輸関係公共工事コスト縮減に関する行動計画」において、9年度からの3年間に公共工事コストの10%以上の縮減をめざすこととしており、10年度は、約5.5%のコスト縮減を図った。11年度は、計画の最終年度として目標を達成するため、必要な施策に取り組んでいるところである。
 投資の重点化・施行対策では、大都市圏へ重点配分するとともに、11年度上半期の契約額が伸びるよう、積極的かつ着実な施行を行っている。


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