グローバリゼーションの進展、経済のボーダーレス化といった国際環境の大きな変化の中、より一層円滑な国際運輸サービスの実現に向けた環境整備が必要となってきており、我が国は、国際交通ネットワークの整備や多国間(WTO、APEC等)・二国間(日米包括経済協議等)での国際協調政策を進めるとともに、個別経済問題への対応、国際輸送安全対策の実施、国際協力の拡充等国際運輸サービスの充実のため積極的に取り組んでいる。
1 国際的課題に対応した運輸行政の展開
自動車の世界的な基準調和を図るための枠組みとして平成10年6月に国連の車両構造作業部会(WP29)において「車両等の世界的技術規則協定(略称)」が作成された。我が国は、11年8月3日の閣議で加入を決定したところであり、同協定の発効後は、世界統一基準の策定に向けて積極的に貢献することとしている。
〇WTO(世界貿易機関)
11年11月、シアトルにおいて予定されている第3回WTO閣僚会議で次期ラウンドの交渉範囲、指針等の枠組みを決定することになっており10年9月からこのための準備会合が行われている。
次期ラウンドにおいては、航空分野のGATS(「サービスの貿易に関する一般協定」)の適用除外に関する検討が行われることとなっているほか、海運分野に関しては、交渉が再開されることとなっている。海運分野は前回のラウンド以降もサービス貿易分野で唯一最終的合意に至っていない分野であり、我が国としては、次期ラウンドで十分な交渉成果を得られるよう最大限の努力を傾注することとしている。
〇OECD海運委員会
OECD海運委員会においては、先進国間の海運政策についての討議を通じて、海運自由の原則に基づく自由で公正な国際海運市場の形成に向けた活動を行っている。我が国は、10年より議長国として積極的に参加・貢献しており、11年10月には、我が国において海運委員会及び中国アジア、中南米諸国とのワークショップを開催した。
〇APEC運輸ワーキンググループ
8年11月に我が国提案により設立された「港湾専門家会議」では、我が国が議長をつとめており、域内港湾の容量と効率の改善に向けた作業が行われている。11年秋にはAPEC域内港湾の統計・サービス情報を提供する「港湾データベース」がチリから日本へ移転される予定であり、さらなる拡充が進められている。
また、我が国提案により設立された「海運イニシアティブ」では、我が国が議長をつとめており、域内の自由で効率的な海運業の発展にむけ論議が行われ、ミッション・ステートメントの策定、各国の海運政策分析等が行われている。
開発途上国の発展のためには、効率的な輸送体系の構築や観光の振興が不可欠であり、運輸分野で豊富な経験と優れたノウハウを持つ我が国に対し、国際協力の要請が数多くなされている。このような要請に対し、鉄道、空港、港湾、自動車分野等の運輸基盤施設の整備等のハード面のみならず、施設の管理・運営、事業経営等の人材育成をはじめとするソフト面でも、国際協力に総合的に取り組んでいる。
特に、現在中国において計画されている北京−上海高速鉄道は、1日数十万人の利用者が想定されており、我が国がかかる鉄道整備に協力することができれば、中国の多くの人々に利用され、中国の経済発展に大きく貢献することができ、日中間の友好の発展に大きく寄与するものと考えられている。運輸省としては、本件プロジェクトに関し、引き続き関係省庁、民間関係者と緊密に連携しつつ、中国側関係者に対して積極的な働きかけを行っていく考えである。

近年我が国関係船舶(日本籍船及び我が国海運企業が運航する外国籍船)に対する窃盗・強盗事件等(いわゆる「海賊行為」)が増加している(9年18件、10年19件、11年19件(8月まで))。運輸省では、従来から、外交ルートを通じて関係国に警備強化を申し入れるとともに、海運企業間での対策会議の開催、防止対策要領の作成及び徹底を図るよう指導を行うほか、国際海事機関(IMO)における検討に積極的に画しているところである。11年7月には、関係省庁や民間団体との対策会議を設置し、逐次、海運企業の自衛策の徹底、沿岸国への働きかけ等、対策の一層の充実を図っているところである。