1 都市の巨大化


  大都市への産業,人口の集中は著しい。 〔I−4−27表〕は,東京都,大阪府,愛知県の三大都府県への集中度を示したものであるが,これによると,昭和35年において,製造品出荷額等の38.2%,県民分配所得の34.4%がこれら三大都府県に集中しており,30年にそれぞれ,35.9%,28.9%であつたのに比べ,集中度が高まつている。首都,京阪神,中京の三大都市交通圏について,人口の集中度をみると, 〔I−4−28表〕に示すとおり,35年において全人口の31.5%が三大都市交通圏に集中しており,また人口密度は,全国平均に対し,首都交通圏で約6.5倍,京阪神交通圏で約5倍,中京交通圏で約3倍と,全国平均をはるかにこえている。

  とくに中心都市である東京都区部および大阪市は1平方キロあたり1万5千人(全国平均の約37倍)の人口密度となつている。このように,中心都市の人口密度が極度に高いことは,中京交通圏においてもほぼ同様であり,中心都市の住宅難とあいまつて中心都市周辺部において人口増加が著しく,周辺部の宅地化が急速に進んでいる。
  以上のような産業,人口の大都市集中により,多くの問題が発生しているが,都市交通の面では,通勤,通学輸送および路面交通において,需給のアンバランスから著しい交通難がもたらされている。


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