3 路面交通の渋滞


  前述したとおり,大都市への産業,人口の集中による路面交通需要の増大および所得水準の上昇により自動車数は飛躍的に増加した。これを,東京都,大阪府に例をとつてみると, 〔I−4−34表〕のとおりで,自動車数については,昭和30年度とくらべて38年度には,東京都で約4.0倍,大阪府で約4.6倍に増加している。車種別構成をみてみると,自家用乗用車が東京44%,大阪38%となつており,ついで自家用トラックが東京30%,大阪28%を占め,営業用乗用車,トラックおよびバスの比重は自家用車に比すれば非常に少ない。

  この自動車数の爆発的増勢に対し道路網整備がおいついて行けないため大都市交通圏の中心都市においては路面交通は極度の混雑状況を呈するにいたつた。首都,京阪神交通圏の中心都市の主要交差点通過自動車数について30年度と37年度とを比較してみると 〔I−4−35表〕のとおり東京都2.2倍,大阪市1.7倍(36年度)となつており,交差点をボトルネックとして路面交通が渋滞しつつあることがうかがわれる。このような路面交通の混雑により,路面交通機関の時速は 〔I−4−36図〕にみられるとおり年々低下の一途をたどり,大都市の民生および産業活動に大きな悪影響をあたえている。

  このような病態的交通混雑を幾分なりと緩和するため,車種別交通規制,右折,左折の禁止,一方通行等の規制措置が行なわれてきたが,いぜんとして路面交通混雑は日増しに激しさを加えつつある。そこで,不足している大都市内交通容量の増強をはかるため,最近高速道路網の建設,主要道路の立体交差化等自動車道路の増強が行なわれてきているが,なおいつそうこれを強力に推進する必要がある。また,これと併行して路面混雑激化の一要因となつている都心の市場,倉庫,問屋等を中心都市周辺に移し,道路網と密接に連絡する大規模な流通施設センターをトラック・ターミナルと一体として建設する計画を進めている。また,旅客輸送の面では,大衆の路面交通機関として,輸送効率の高いバスの優先通行を確保するとともに,その円滑な運行のため駅前広場の拡張およびバスターミナルの建設を行なう必要がある。


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