2 運輸事業における労働の需給関係


  運輸事業における常用労働者数は30年以降38年まで100万人から142万人へと42%の伸びを示しているが,全産業平均の伸び率を下回つており,その雇用者数の増加の実現を図ることは,一般の労働市場を反映して,年々困難度を増してきている。

(1) 充足率の低下

  運輸事業における労働力の需給関係を示す指標として,企業者の職業安定所を通じる充足率(求人数に対する就職者数の比率)をみると 〔I−5−2表〕のように,運輸通信業全体にわたつて,年々低下し,需給関係がひつ迫化していることを示している。

(2) 運輸通信業における労働異動

  運輸通信業における入職者を前職経歴別にみると以下の通りである。
  37年における前職経歴別新規入職者数を 〔I−5−3表〕によつてみると,全産業平均に比して,新規学率者その他からなる未就業者よりも,その他の産業にすでに就業していた者の比重の方が大きくなつており,また,同一業務の有経験者の占める比重も34.3%と全産業平均の18.9%より大きくなつている。新規学卒者は,大企業や発展産業に集中的に採用されるが,運輸通信業は,中小零細企業が大部分を占めており,さらに運輸事業の従業者の基幹部分を占める運転者は,運転に必要な技能を修得するために一定期間を要するので,新規入職者で不十分な部分は同業種の有経験者を中心とした既就業者の転職によって,一時的にまかなわれており,運転者の引き抜き等も行われている。


表紙へ戻る 次へ進む