2 郊外私鉄の都心乗入れ等の輸送力増強


  都市交通審議会においては「郊外から都心に向う旅客が激増して郊外線の乗客密度も高くなり,山手線各駅の乗換えが大きなあい路となるにいたつた。したがつて郊外から都心への到着時間の短縮,乗換え混雑の緩和等により,かかる事態に対処するため,前項で述べた地下高速鉄道と郊外私鉄との直通運転について措置すべきである」と述べており,大阪,名古屋についても同様の趣旨が述べられている。
  これに基づいて現在までに実施した都心乗り入れについてみると,東京においては,営団日比谷線が北千住で東武鉄道本線と,中目黒で東京急行東横線とそれぞれ相互直通運転を行なつている。
  また,都営地下鉄1号線は押上で京成電鉄と相互直通運転を実施しているほか,新橋-泉岳寺間が完成し,京浜急行の現在工事を進めている品川-泉岳寺間の都心乗入れ工事が完成すれば,これら3線の相互直通運転が可能となり,これによつて京浜地区と都心および京葉地区とを結ぶ交通利便の増進が期待されている。
  一方大阪においても,都心乗入れ工事が進められ,京阪電鉄の天満橋〜淀屋橋間,京阪神電鉄京都線大宮〜河原町間の地下鉄乗入れが行なわれ,39年に入つてからは阪神電鉄千鳥橋〜西九条間が開通し,さらに難波までの工事が進められている。
  以上述べたように東京,大阪の両地区とも都心乗入れ工事が進められ年々交通混雑緩和に大きく貢献しているが,大手私鉄各杜においては上記工事のほか車両増備,ホーム延伸,駅舎改良等輸送力増強3カ年計画を進め,36年度から38年度まで1270億円の資金を投入して輸送力増強に努めた結果 〔I−(I)−32表〕に示されるような効果を収めた。政府においてもこれら都心乗り入れ工事の資金確保のため毎年開発銀行の融資あつ旋を行つており,38年度には37億円の融資が決定し,39年度には70億円の融資を希望している。


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