3 路面電車に対する措置


  大都市交通の当面の課題の一つはすでに述べた通勤通学輸送力の整備であり,他の一つが路面交通混雑緩和対策である。
  最近の東京,大阪等の大都市における路面交通は極度の自動車数の増加により混乱状態を呈しており,路面電車の交通機能はまつたく麻痺寸前の状態にある。
  ちなみに路面電車の運転速度は時速12キロ前後に低下しており,輸送効率の低下,旅客への不便等を生じ大きな問題となつている。
  都市交通審議会においても東京の路面電車についてはその実状を指摘し「その存在そのものが路面交通混雑に拍車をかけている状態であつて,この状態は今後改善される余地がないものと予想されるので円滑な公衆輸送を確保し,路面交通混雑の緩和を図るためには,路面電車を撤去して他の交通機関に代替させることが適当である」と路面電車の今後の方向を示唆しており,大阪および名古屋についても同様の考え方を示している。
  この基本方針に沿つて,地下鉄の建設が進められて行くにしたがつて、東京,大阪とも年々路面電車の撤去が進められており,最近の撤去状況は 〔I−(I)−33表〕のとおりであり,38年度には192キロが撤去されている。

  しかし,諸般の情勢からしてさらに路面電車の撤去を促進する必要があると思われるが,代替交通機関たる地下鉄の建設は建設費の高騰等によりその建設速度はにぶりがちである。この点に関し現在考えられているものとしては,モノレールがあり,最近本格的な都市交通機関としての技術的な開発も進んでいるので,今後の発展が期待されている。


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