1 自動車事故の推移


  わが国経済の発展に伴い,自動車輸送は隼々活発化しており,これに伴つて,自動車事故(自動車が主たる原因となつて発生した事故)も 〔I−(II)−51図〕のとおり概して増加の傾向を示している、しかし,第2章第1節で述べたとおり,自動車数は逐年増加の一途を辿つているので,台数当りの事故件数,死者数は,ともに減少傾向を示している。

  次に事故発生状況を,バス,乗用車,トラック別に比較すると, 〔I−(II)−52表〕のとおり,台数当りの事故率ではいずれも大差がないが,走行キロ当りの事故率では,トラック,乗用車,バスの順である。
  さらに,これを営業用車,自家用車の別に見ると,台数当り事故率は,いずれの場合にも営業用車が高率を示している。しかし,営業用車は、自家用車に比し稼動率が高く走行距離も長いので,走行キロ当り事故率はバスおよび乗用車の場合は自家用車より低率であり,トラックについては同程度となつている。

  これは,営業用のバス,乗用車は,その運転に第2種運転免許を要し,運転者の運転経験も豊富であり,技能も高水準であることによるものと思われ
 る。
  次に外国における自動車事故と比較すると,人口10万人当りの死者数は,昭和36年において,日本10.8人に対し,アメリカ20.1人,イギリス14.4人となつており,わが国はやや低い数字を示している。しかし,各国により自動車保有台数が異なるので,自動車1万台当りの死者数は,日本23人に対し,アメリカでは5.0人,イギリスでは7.2人となつており,わが国は外国に比しかなり高い。
  事故の種類別にみると,国情の相違を反映し,わが国は英国に似て歩行者や自転車との衝突,原動機付自転車等の事故の割合が多いが,人口密度が低く道路事情の良い米国では,自動車相互の衝突による死者が多くなつている。


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