2 営業用自動車の重大事故発生状況


  営業用車による重大事故発生状況(重大事故とは,自動車が転覆し,転落し,火災を起し,踏切において列車等と衝突し,もしくは車両欠陥を起した事故,または死者,重傷者もしくは物的損害50万円以上を生じた事故をいう。)は, 〔I−(II)−53図〕のとおりであり,昭和38年中には8031件,それによる死者は1924人重傷者は6114人である。

  重大事故を種類別にみると 〔I−(II)−54図〕のとおり死傷事故(通行人等当該自動車に乗車していない者を死傷させた事故)および衝突事故が件数,死者数いずれにおいても大多数を占めており転落事故がこれについでいる。
  これらの事故の直接的な原因は,運転操作不良(当該車両の乗務員の不注意)665%,車両欠陥(当該車両の装置の破損等)1.5%,その他(相手車両または被害者の不注意,道路の不良等)32.0%に大別され,これを業態別にみると運転操作不良による事故の占める比率は,トラック事業が他の業種に比して高い。

  重大事故中におげる車両の欠陥に起因する事故は,毎年110件前後発生しており 〔I−(II)−55図〕のとおり,制動装置の欠陥によるものが,その約5分の1を占めて最も多く,かじ取装置の欠陥によるものがこれに次いでいる。このいずれの装置も,車両の安全運行上最も重要な装置であり,それらの装置の欠陥によるものが,車両の欠陥に起因する事故のうち39%を占めていることから見ても,今後さらに車両保安の施策の充実を図つていく必要がある。以上のような事故の直接的な原因のほか,間接的な原因としては,人と車が混合交通を行なつている道路が多いこと,車両数の増加に道路容量が対応していないこと等の道路整備の立ち遅れ,ガードレール,踏切施設等道路諸施設の不備および運行管理上の欠陥等をあげることができよう。


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