第3節 被害者の救済


  交通の安全を確保するためには,事故防止対策を最大限に講じなければならないことは言うまでもないが,現実には,種々の事故防止対策にもかかわらず,交通事故は,日々発生しているのであり,これらの事故による被害者の救済を図ることがきわめて重要な問題となつている。
  交通事故の大半を占める自動車事故について,自動車側の責任を無過失責任に近づけるとともに,加害者の損害賠償の履行を確保するための強制保険をはじめとする諸制度を確立したのが,昭和30年に成立した自動車損害賠償保障法である。
  自動車損害賠償保償法により,自動車事故が発生した場合の加害者の被害者に対する賠償能力を確保するため,国,都道府県等や自家保障の許可を受けた者が保有者である場合を除き,すべての自動車について自動車損害賠償責任保険の契約の締結が義務づけられている。加害者は,損害賠償金を支払つた場合に,保険金の範囲内でてん補を受けることができるが,加害者に支払能力がない等の場合のために,被害者が直接保険会社に損害賠償額の支払を請求するみちも開かれている。また法律違反の無保険自動車による事故やひき逃げ事故の被害者を救済するためには,政府の保障事業が設けられている。


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