2 施設の整備


(1) 施殻整備の現況

  港湾運送用の施設としては,上屋,野積場,水面貯木場,はしけ,引船通船,荷役機械等があるが,これらの施設整備については,投資が従来から不足の状態にあったこと,貨物量の増加が予想以上に大きかつたことに加えて,労働者の不足に対処するための荷役の機械化の必要に迫られてきたことから,まだ十分とはいえない状態にある。
  上屋,野積場,水面貯木場については,いまだ従前の投資不足を解消できず,水面貯木場については,輸入木材量の急増のため,主要港において依然として輸入量,輸入時期の調整,他港への回送等が行なわれているのが実情である。
  はしけについては,ここ2,3年大幅な増加を示しているが,これを昭和33年と昭和38年とを比較すると23%増にすぎず,運送量の増加(36%)を下回っている。また,はしけの老朽化が目立つており,船令20年以上のはしけおよび船令不詳のはしけは全体の47%を占めている 〔II−(III)−23表〕
  荷役機械については,移動式クレーンや大型荷役機械,フォークリフトやコンベア類の増加が目立っている。 〔II−(III)−24表〕,しかし,それにもかかわらず荷役の機械化は十分でない。船内荷役はほとんど機械化が進んでいないし,沿岸荷役機械についても最近整備の中心となっている移動式クレーンは,沿岸荷役事業者(約1300)1社当り1台にも満たない。

(2) 施設整備の対策

  港湾運送事業者の整備するものについては日本開発銀行や中小企業金融公庫からの融資,特定船舶整備公団方式および中小企業近代化資金により整備が図られている。
  特定船舶整備公団方式は,公団と港湾運送事業春が共有方式ではしけ,引船および荷役機械の整備を行なっているもので,整備資金は,公団が70%,港湾運送事業者が30%負担し,公団の負担分については港湾運送事業者が毎年使用料という形で償還することとなっている。
  はしけおよび引船の整備は昭和36年の滞船を契機に37年度から実施されており,37年度は,はしけ132隻,引船8隻,4億9800万円,38年度は,はしけ76隻,引船9隻,2億9900万円であった。39年度は,3億円の資金で整備が行なわれることとなっている。
  荷役機械の整備は,労働者の不足に対応して,39年度より実施するもので,初年度は1億円の資金で6大港を中心として,移動式クレーン等20台程度の整備を予定している。


表紙へ戻る 次へ進む