1 新造船受注の動向新造船受注量の増減は常に海運市況と深い関連をもつている。その顕著な例として30〜31年当時の海運ブームと新造船受注量の増大および同ブーム終えん後の海上運賃の急落と新造船受注量の減少をあげることができる 〔II−(IV)−1図〕。
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33年以来世界の新造船受注量は久しく低水準で推移してきたが,38年に至って新造船受注量は数年来の実績を大幅に上回る動きを示した 〔II−(IV)−1図〕。これは,世界的異常寒波の襲来に端を発して,油送船の海運市況が動意をみせ,これが船主の新造意慾を刺激したこと,さらに新造船に対してより高い採算性を望む気運があり,これに即応しうる造船技術の進歩があつたことなどが要因とみられる。一方,世界の新造船受注量を船種別にふると,前記市況の働きを反映して38年の船種別受注量はこれまでとやや異った動きを示した。すなわち,従来世界の新造船受注量においてその大宗をしめしてきたのは油送船とばら積専用船であった。これは近年世界の海上荷動き量の伸びに比し,タンカーカーゴの荷動き量がめざましい伸びを示していること 〔II−(IV)−2表〕およびドライ.カーゴの中にあって石炭,鉄鉱石,穀物などのいわゆるばら積貨物の海上輸送が近年長期に安定して大口化する傾向にあり,これが一般多目的貨物船に代わって採算のよいばら積專用船の増大を促していることによる。この間の事情により36,37年についてみても油送船とばら積專用船が受注量のそれぞれ約50%,約30%しめてきた。しかし38年に入るとばら積専用船の比率は14%に低下する一方,油送船は73%と大幅に増大し,量的にも1000万重量トンをこえるに至った 〔II−(IV)−3表〕。
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最近は船主の輸送費低減の要望と建造上,運航上の問題の逐次解消とがあいまって油送船,鉱石専用船などにおいて一段と船型が大型化する動きが著しい。油送船船腹における動きを例にとれば,33年頃より5万重量トン以上のものが急速に増加しており 〔II−(IV)−5表〕,また最近においては13万重量トンのものすら出現をみている。
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