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2 収支状況
38年度の国内幹線および主要ローカル線における輸送需要は,前年に引きつづき順調な伸びを示し,それに伴ない一般的傾向としては各社とも収入は増加したが企業の格差,特性等により決算の状況は一様ではなく,日本航空(株),全日本空輸(株)の大手2社はともに採算経営の実をあげることができたが,その他の会社は収支償うに至らなかつた。
すなわち,国際線および国内幹線を運営する日本航空(株)は,38年度の国内線運営によつて142億3500万円の支入をあげ,前年度に比し42%の収入増となり,一方支出は前年度に比し20%増の126億3400万円にとどまり,差引き16億100万円の利益を計上し,前年度の損失経営に比し,著しい好転ぶりを示し,前年度の欠損額4億7900万円を補填してなお余りあるものとなつた。
次に,幹線の一部および主要ローカル線を運営する全日本空輸(株)は,38年度においても概ね前年度に近い好調を持続し,ヘリコプターおよび飛行機による使用事業収入,その他の収入を合わせて,収入の合計は105億6000万円に達し,前年度の収入合計79億2500万円に対して34%の増収を示した。又,支出は99億5800万円で前年度の支出75億1500万円に対し33%増で差引6億2500万円の利益を計上した。
同社38年度における路線部門の業績の特長は,ローカル線が従来に引きつづき好調な伸び率を保持しているのに対し,幹線においては全体としては期待されたほどの伸びがみられず,そのため路線全体の伸び率が一時的に若干鈍化したことである。すなわち,幹線においては東京-大阪線はかなりの好調を示したのに反し,東京-札幌線は前年度の実綴にもおよばず,幹線全体としては従来の伸び率を持続することができなかつたものである。
また,ローカル線はほぼ前年度に近い好調な伸びを示しているが,これは使用機の高性能新鋭機への切りかえ,東京,大阪と地方都市とを直接に結ぶサービス等が旅客,荷主の好評を博したことによるもりと思われる。
39年度は幹線にジェット機ボーイング727型の導入が計画され,すでに東京-札幌線に就航しているので,今後業績は好転するものと期待され,また,ローカル線については優秀機材の投入,直結路線の増設等のサービス向上策が計画されており,引きつづき業績の伸張を期待し得るものと思われる。
その他の会社は日本国内航空(株),東亜航空(株),中日本航空(株),長崎航空(株)の4社で,いずれもローカル線のみを運営するものである。長崎航空を除く3社については各社とも輸送量は総体的には増加しているが前掲大手2社のごとく好調とはいえず,3社を合わせた収入の合計は,18億800万円(前年度は12億7100万円)に達したが,支出の合計は24億7000万円(前年度は18億6000万円)に及び差引き5億9000万円の赤字を生じている。この数字は前年度における各社の合計損失額6億400万円(路線6社の合計7億2800万円から全日本空輸(株)に38年11月合併した藤田航空(株)の損失額1億2400万円を引いたもの)とほぼ同額の欠損が繰り返されているが,これは各社共通した機材,要員の増強のごとき開発的経費がかざんだこと,事故により利用者が減退したこと等の要因が重なつて各社の経営を圧迫したことによるものと思われる。しかしこれも開発期の経過,安全運航の実をあげること等により漸次好転するもりと思おれる。
最後に,各航空会社に共通していることは,ここ数年来人件費および諸物価の値上りによる支出面の経費の増加が漸次経営を圧迫する徴候が見受けられることである。これに対し収入の根幹をなす運賃は各路線とも10余年前の民間航空再開時の水準により設定されたもので,諸物価の値上り後も今日までは航空需要の安定した伸長に支えられて,一部企業に採算経営の実をあげることができたが,今後長期にわたる安定経営をはかるための施策として,他公共料金とも比較し,収支面の検討を要望する声が高くなつている。
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