1 わが国の航空機の現勢


  民間,軍用を含めたわが国の航空機の総数は現在およそ2200機であり,この中民間機は約500機,軍用機は約1700機である。

(1) 民間機

  まず,民間機の変遷をみてみよう。次の表は運輸省航空局に登録された民間機(グライダーを除く。)の過去5年間の変遷を示すものであるが,その伸びは誠に著しく,昭和35年を100とした場合昭和39年は218と驚くべき機数の増加を示している。

 イ 旅客機

      昭和35年に世界の主要幹線にジェット機が登場し,日本航空(株)のDC-8も太平洋線に就航した。昭和36年後半には,日本航空(株)のCV-880が東南アジア線に,全日空(株)のバイカウントVIS-828および,フレンドシップF-27が国内線に就航するにおよんで長年旅客機として君臨してきたDC-4も引退を余儀なくされるに至つた。また旅客機の座席数は,CV-240(50席),DC-3(30席),F-27(40席),DC-4(68席),DC-6B(99席),DC-7C(99席),VIS-828(70席),CV-880(110席),DC-8(160席)というように,.ジェット機はピストン機の2倍近くであり,またスピードも,ピストン機の2倍以上であることを思えば,輸送力の伸びがいかに大きいかがうかがえるであろう。
      全日空が昭和39年5月にチャーター運航を開始したボーイング727型機は後方にジェットエンジン3基を装備した短中距離機でDC-8,B-707等の大型ジェット機に対して,セカンドゼネレーション(第2期)のジェット機とよばれている。後方にエンジンがあるので機内騒音が少なく,主翼を有効に使える等,多くの利点をもつており,さらに後方にエンジン2基をもつ双発機よりも定時性がすぐれ,したがつて就航率が高いので将来世界各国の短中距離路線の王座にのし上るであろう。

 ロ 単発機,ヘリコプタ等

      農業用,宣伝用,訓練用として使用されている単発機の主体はセスナ,パイパー,ビーチ等の輸入機である。また最近は離着陸の短いことを特長とする単発機が輸入されるようになつた。単発機の機数は毎隼増加しているが,総機数に対する割合は,昭和35年32%,昭和36年31%,昭和37年28%,昭和38年27形,昭和39年27%と漸減している。
      これに反し,ヘリコプタは,それぞれ29%,30%,35%,36%,38%と急増しており,特に昭和36年以降,農業用として多数のペル47型ヘリコプタが登録され,S-62,V-107,アルエット等のジェットヘリコプタの登場により,ヘリコプタの増加率は対前年55%にもおよんでいる。

(2) 軍用機

  次に軍用機についてみるとその総数1700機の約50%はF-86,F-104等のジェット機で,昭和30年にはわずかに4%であつたことを思えばジェット化の傾向がいかに著しいかがわかる。


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