2 国産機の動向


  わが国の国産機の構成はペル47型153,S-555,S-625,V-1073,S-612,YS-U2,MU-22,計172機であるが,これらは,YS-11,MU-2を除きすべてアメリカの航空会社との技術提携によつて製造しているヘリコプタである。農業用としてのペル47型の伸びは前述のように著しいが,その他のジェットヘリコプタは,都心-空港間の旅客輸送用として,あるいは物量運搬用として,開発が進められている段階であり,その将来性は,きわめて有望ではあるが,現状では伸び悩みの状態にある。その理由は,イ.飛行機に較べて運航費が高い,ロ.都心のヘリポート設置が困難,ハ.計器飛行がまだ完全にできない,等解決すべき多くの問題があるからである。
  日本航空機製造(株)の設計によるターボプロップYS-11は区間距離300〜600kmで最も経済的であるように設計された60席の旅客機で,ローカル線用としては,ターボジェット機よりは経済的であり,必要滑走路長1200mという優れた特長をもつている。
  三菱重工(株)設計のMU-2型機は7人乗ターボプロップ機である。スピード,デラックスに重点を置くこの種のビジネス機には,ダーボジェットあるいは,ターボプロップ機が最適であり,MU-2型機の見通しは明るいと思われる。
  伊藤忠航空が自家用,訓練用として設計したN-62型機は4人乗のピストン機である。この種の小型機については,第一にできるだけ安価であることが望ましいので,ジェットエンジンがピストンエンジンより8倍位高価であることを思えば,当分の間この機種を含めてピストン機が主体になるものと思われる。


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