3 将来の航空機


(1) 超音速旅客機

  音よりも早く飛びたいという人類の夢が軍用ジェット機によつて実現されてから,はや13年は過ぎ,昭和45年頃には超音速旅客機(SST)が登場するといわれている。
  フランス,イギリスで共同開発されているものは速度マッハ2.2(音速の2.2倍)アメリカで開発されているものは,マッハ3で米国西海岸-東京間を5時間程度で横断するといわれている。
  これらのSSTば高度1万m位まではソニックブーム(音速突破による音の障害)による損害を地上に与えないように亜音速(マッハ0.8位)で上昇することを要求されるので,亜音速飛行時における操縦性,安定性,経済性は現在の亜音速旅客機DC-8や,B-707程度であることを要求されるであろう。なお,SSTは太平洋とか大西洋のような長距離路線に使用されるのが最も経済的であり,それ以下の比較的短い路線にはDC-8,B-707等が依然として使用されるものと思われる。

(2) 垂直離着陸機V/STOL

  VTOLは地上滑走距離ゼロということで定義づけられる航空機であるが,実際の運用では60度位の角度で,50m位地上滑走して離陸上昇するものと思われる。
  ヘリコプタはもちろん広義の意味でVTOLの一種ではあるが,スピードが毎時250km程度で決して速くはないし,航続距離もせいぜい400km以下であり,これよりも速く,かつ航続距離も長いVTOLの必要性は早くから認められている。
  現在各国で研究されているVTOLの型式には次のものがある。

 イ 複合推進式

      揚力をうるためのローターやジェットエンジンと推力をうるためのプロペラやジェットエンジンを別個にもつている方式

 ロ 推力転向式

      同一のローターあるいはジェットエンジンで同時に揚力と推力をうる方式のもの,たとえばヘリコプタのように,離陸のときは推力方向(推進方向)を垂直にして揚力のみにて垂直に上昇し,巡航時には推進方向を斜めにして揚力と推力を同時にうる方式

 ハ 後流偏方式

      プロペラやジェットエンジンを装置した主翼を離陸の際は垂直に偏向し,水平飛行時には主翼を水平にもどす方式,これらは何れも試作の域を出ず,垂直飛行から水平飛行に移る際の操縦性,安定性の問題,高額の運行費,等未解決の問題が多く実用化は当分の間期待できない。
      STOLは,離陸距離が約300m以下で,ゴルフ場や広場からでも容易に離陸できることを特長とする航空機で,プロペラ後流の偏向やジェットフラップ等の高揚力装置の採用により,すでに実用化されており,最近の飛行機は,多かれ少なかれSTOL性を考慮して離陸距離の短縮に成功している。

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