1 航空従事者の現況
(1) 概説
航空従事者とは,航空機に乗り組んで運航に従事したり,あるいは,整備または改造した航空機について,安全上支障がないかどうかを確認するために必要な技能を有し,技術証明書を交付されているものであつて,その資格は操縦士,機関士,整備士,航空士および通信士に大別される。
航空従事者として技能証明書の交付を受けたものは,9月1日現在延9057名であるが,これには2資格以上の併有者,外人ですでに帰国している者,技能証明書を保有しているが現在は航空業務に従事していない者,あるいは,紛失等により再発行したものなどが含まれており,現在,実際
にに航空業務に従事している者は〕のとおり2612名である。
航空従事者は全般的に不足ぎみであるがなかでも操縦士,機関士については路線を運営するのに必要な資格者が不足しており,外人の雇傭を余儀なくされている状態である。
(2)操縦士
飛行機操縦士は,定期路線に従事する定期運送用操縦士,遊覧,報道取材,広告宣伝等に従事,あるいは,定期路線の副操縦士として乗務できる事業用操縦士(上級事業用を含む),および自家用操縦士に分けられる。
定期航空運送事業会社に所属している事業用操縦士および,定期運送用操縦士は731名で,この中,定期路線の運航に従事し得る有資格者は635名,残りは訓練中のものである。
現行路線を運営するためには機長が不足するので,日本航空(株)および全日本空輸(株)のごとく外人操縦士を雇用している会社もあるが,かつては,日本航空(株)のみでも100余名の多きを数えたものが,9月1日現在両社あわせて48名に減少していることは,訓練の効率もさることながら.時の経過により機長として業務するに必要な経歴を有する者が増加した証拠であつて,この状態で推移するならば外人数はじよじよに減少することが予想される。
定期航空運送事業会社に所属する飛行機操縦士の構成を見ると,防衛庁出身者が最も多く全体の34%を占め,ついで戦前の民間,旧軍隊の順となつており,戦後民間航空機操縦士として新人から養成されたものは,航空大学校および,民間養成をあわせて21%となつている。
また,これを年令別に見ると,36才以上のいわゆる戦前派に属するものと戦後派は夫々50%を占めて,両者が均衡状態にあるが,31才から35才までがきわめて少ないことは,戦後における航空禁止の断層を示している。
事業用操縦士で定期航空運送事業会社に所属しないで,報道取材,広告宣伝等の航空機使用事業に従事している者は144名である。
また,自家用操縦士は滑空機が最も多く1092名を数えるが,飛行機は228名である。空でレジャーを楽しもうとする者は年々増加しているが,これらを母体として操縦士の層が厚くなることは好まいことであり,大いに期待される。
なお,ヘリコプター・操縦士は,稼働機140機に対し操縦士184名である。
(3) 操縦士以外の航空従事者
航空機の飛行のための管制通信等の無線連絡を実施するには無線通信士の資格を必要とするが,通信士を単独で乗務せしめるケースはほとんどなく,操縦士がこの資格を併有している状況である。
整備士および,航空士については,各社の需要に応じた所要数が確保されているが,特に整備士については,整備に従事する全員が有資格者であることが望ましいので,社内における研修は活発である。
また,航空機関士は,航空機の大型化に伴い,需要は年々増大しているが,育成が間に合わず一部外人を雇用している。
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