3 外客接遇に関する現況と問題点
(1) 旅行あつ旋業
観光を目的とする外客の大半が,旅行あつ旋業者(旅行業者)の手を経て旅行することからも明らかなように,外客接遇上旅行業者の営業活動は,きわめて重要である。現在,外国人を対象とする旅行あつ旋業を営むためには,旅行あつ旋業法に基づき運輸大臣の登録を受け,所定の営業保証金を供託しなければならないとされている。さらに,料金および旅行あつ旋約款等に関し運輸大臣の監督を受けている。昭和39年1月1日現在,この外国人を対象とする旅行あつ旋業者(法律上は「一般旅行あつ旋業者」という。)の数は50社で,その約4分の3の業者が日本人の旅行あつ旋もあわせ行なつている。
一般旅行あつ旋業者の外客取扱状況は 〔IV−19表〕にみられるように取扱外客数は,その延数で24万6000人であり,また,その最近の数年間における増加率も入国外客の増加率をはるかに上回つている。
これは,とくに旅行業者の主催ずるパッケージ・ツアー(交通費,宿泊費,休憩費,食事費,見物料,ガイド料,その他一切の費用を含めた値段で募集する定期,定額,定コースの旅行)の利用者数の著しい増加によるものである。
一方,その経営状況をみると,一部の業者や外国系会社の支店等を除いて外人旅行部門だけで黒字を出しているものは少なく,その多くは,目本人客相手の営業,航空切符の代売,航空貨物の取扱,その他の事業によつてようやくその経営が成り立つているという現状である。
これは,旅行あつ旋業は,外国業者との連絡,旅程と費用見積りの作成,宿泊交通機関およびガイドの手配,空港での送迎,又は添乗業務等のために相当数の,しかも高度の語学能力を有する従業員を必要とし,かつ,国際取引のため通信費等の経費がかさむこと,また 〔IV−20図〕にも明らかなように,外客取扱数に著しい季節性があること等の理由によるものであるが,同時に昭和37年頃からみられる,新規登録事業の進出による過当競争ぎみの傾向と,このような傾向を背景とする海外旅行業者による買いたたきの悪影響も見逃すことのできない要因である。
しかしながら,旅行あつ旋業者がわが国の国際観光の振興に果たす役割の重要性から考えれば,このような状態をこのまま放置することはできないところであり,その経営を安定させなければならない。そのためには旅行あつ旋業者の過当競争の是正,オフシーズン対策としての新しい観光客層の獲得,観光資源およびルートの開拓,営業宣伝の強化が必要であるとともに,海外の旅行業者との取引の活発化および海外旅行業者の啓蒙が積極的に行なわれる必要がある。
(2) 通訳案内業
外客の日本旅行を容易,かつ,快適なものにし,満足感を与えて帰国させることができるかどうか,また,日本に関する正しい知識を与え,誤つた考え方を取り除くことができるかどうかは,通訳案内業者(ガイド)の資質と能力によるところが大きい。
わが国においては,昭和24年に,ガイドの資質,語学力,一般常識および観光に関する特殊知識の水準を高め,外客接遇の向上を図ることを目的として通訳案内業法が制定さ札同法によりガイドの国家試験,就業に関する免許等の制度が定められた。
昭和24年以来現在までの通訳案内業試験の合格者の累計は, 〔IV−21表〕にみられるように,本年度試験の合格者934名を含め,3691名に達している。また,このうち,都道府県知事の免許を受けた者の数は38年2月1日現在で1057名,免許を受けた者のうち,日本観光通訳協会に加盟している者の数は,38年10月朱現在で840名となつている。
本年度の合格者934名のうちには,通常の通訳案内業試験の合格者のほか,オリンピック時における来訪外客の増大に対処するため,外国に2年以上居住した経験を有する者を対象として実施した,臨時通訳案内業試験の合格者199名が含まれている。
一方,このようなガイドの数の面においてのみならず,その資質と,能力の点についても,通訳案内業試験の施行によつて顕著な効果がみられてきており,その平均水準はかなり改善されてきた。しかし,現在の試験は合格者がガイド業務に従事することができる最低限の能力を保証するものであつて,実際に業務を行なうには,さらに,広い知識と経験が要求される。これには経験と研修が必要であるが,現在はガイドについては弁護士,医師,公認会計士等の国家試験に通例みられる研修又は見習の制度等がなく,わずかに船拍振興会からの補助金の交付をうけ,日本観光通訳協会が主催して,その年の合格者を対象に短期間の研修を行なつているにすぎず,現在は主として仕事をしながら経験を積むという方法によつている。今後ガイドの資質をいつそう向上していくためには,この研修制度を拡充し,既成のガイドに対する講習制度を設ける等の措置が必要である。
次に,ガイドの就業状況とその収入状況をみると, 〔IV−22表〕のとおりであり,入国外客数の増加とともに,一人平均就業日数の点でも,一人当たりの年間収入の点でもかなり良くはなつてきている。しかし,他の職業と比べるとまだ決して十分とはいえない状況であり,ガイドを専業として生活できるものの数は,いまなおきわめて少数にとどまつている。
このことは,来訪外客数に著しい季節性があり,ガイドの需要の振幅が大きいためで,年間を通じて平均した就業をすることができないことに大きな原因があると考えられる。
とくに,本年は,先に述べたように,オリンピック東京大会に備えたため,例年より多くの通訳案内業試験合格者がでており,これに伴い,ガイドとして就業していこうとする者の数も,かなり増加するものと思われるので,今後,ガイド全般について就業および収入の問題は深刻な問題となろう。
ガイドは,外客に快適な旅行をさせるためにきわめて重要な役割を果たすものであり,その資質能力を高めることが必要であることは先に述べたところであるが,そのためには,通訳案内業試験や研修等の諸施策のみならず,それとともにガイドの収入状態を安定向上させ,素質ある者をガイドに専念させうる体制を作ることが必要である。この点については,来訪外客数の増大やオフシーズンの解消を図る等,国の基本的な観光政策の確立にまつ面が大きく,前途多難な問題であるが,とりあえず,ガイドの主要な使用者である旅行あつ旋業者においても,その提供する旅行あつ旋サービスの良否がガイドの分担する旅行案内サービスの良否による面が多いという点にかんがみ,それぞれ自己の企業内において優秀なガイドが安心して働けるような体制を確立していくことが必要である。
(3) 観光みやげ品
観光客にとつて旅行先の土地で,その土地独特の民芸品や優れた工芸製品等を購入することは一つの大きな観光上の魅力であるが,これを観光客受け入れ国の側からみると,その観光みやげ品に対する消費は,その国の観光収入の大きな部分を占めることになる。
しかも,観光みやげ品に対する消費は,他の消費に比べてきわめて弾力性に富むものであるところから,観光みやげ品に対する消費額の増加を図るための施策は,外客の消費額の増加をはかるための非常に有効な方策の一つである。このようなところから,いずれの国においても,観光みやげ品に対する物品税等の免税措置(免税品購入の手続きおよび検査手続きの
簡易化のための措置を含む。),観充みやげ品の販売網の整備,観光みやげ品の品質の改善等を行なつて自国における外客の観光みやげ品に対する消費の増大を図つている。
わが国においても,外客は,輸出物品販売場として承認を受けた販売場で,その所持する旅券等を提示し,かつ,これに輸出免税物品購入記録票のはりつけを受けるとともに,当該物品をその購入後において輸出するものであることを記載した書類を提出して指定物品(物品税法施行令および物品税法施行規則による指定)を購入する場合には物品税を免除されることになつている。
指定物品の範囲は,現在,次のとおりである。
1. 貴石又は半貴石を用いた製品
2. 真珠および真珠製品ならびに真珠を用いた製品
3. 貴金属品および金若しくは白金を用いた製品ならびに貴金属をめつきし,又は張つた製品
4. べつこう製品,さんご製品,こはく製品およびそうげ製品
5. しつぽう製品
6. 毛皮製品
7. 室内装飾用品および繊維製の調度品
8. 茶道用具,香道用具および華道用具
9. 人形およびそのケースならびにがん具類
10. 囲碁用具およびチェス用具
11. 貴金属製等の時計
12. 猟銃
13. 写真機,撮影機および映写機ならびにこれらの部分品および附属品
14. 蓄音機およびアンサンブル式レコード演奏装置ならびにこれらの部分品および附属品
15. 小型のテレビジョン受像機
16. 喫煙用具
17. ラジオ受信機
18. テープ式の磁気録音再生機
19. 時計
20. 隻眼鏡および双眼鏡
21. 幻灯機
現在指定輸出物品販売場として承認を受けた店舗は,昭和38年の統計によると,全国で635カ所であり,その後,かなり増加しているものと思われるが,地域的には東京,大阪等の大都市にその大部分が集中している。またさらに,これらの店舗のうち,販売する物品の品質が特に優秀で,店舗の施設,従業員の接客技術等も優れているわが国の代表的みやげ品店約100店により社団法人国際観光土産品協会を結成し,共同宣伝の実施,販売に関する接遇の向上,みやげ品の品質改善に関する研究調査,国際観光振興会の総合観光案内所,旅行あつ旋業者等との連絡協調等を行ない,外客に対するみやげ品の販売網の整備につとめて,特に,名古屋においては,同協会加盟のみやげ品店が共同のみやげ品センターを設け,このセンターを外人のツアーの起点および終点にしているため,外客にみやげ品を購入するためのより多くの機会を与えることになり,外客からも好評を博している。
また,京都においても同協会加盟店の多くが旅行あつ旋業者のツアーに組み込まれており,これら店舗の日本的ふん囲気とあいまつて外客の好評をえている。
また,オリンピック東京大会時には,社団法人国際観光土産品協会と,社団法人日本観光協会が財団法人日本船舶振興会の補助金を受けて,観光土産品センターを開設し,真珠,カメラ,トランジスターラジオ,絹製品等のわが国の代表的外客向け土産品を展示,販売したほか'あわせて観光の案内等を行ない,外客に対するわが国の国際観光土産品に対する啓蒙,P.Rを行ない,オリンピック東京大会時に来訪する外客のわが国の国際観光土産品に対する消費額の増大を図つた。このような動きは,わが国の国際観光客にとつてははじめてのことであり,国際観光発展に占める国際観光土産品販売の重要性にかんがみ,その成果が注目されている。
先に述べたような免税制度やこのような販売業者の努力もあつて,外客の観光みやげ品に対する消費も次第に増加しつつあるが,他の観光国におけるそれと比べると,'まだまだ少なく,特に大平洋,アジア地域でわが国と競争関係にある香港と比べるとわが国のそれは香港の半分にも満たない状況にある。わが国の観光みやげ品は,わが国伝統の工芸技術と高い水準にある工業技術とを背景として,きわめて優秀であるにもかかわらず,なお,このような状態に甘んじなければならないという点については,いくつか改善しなければならない点があるものと思われる。その第1は,販売網を強化し,購入の機会の増大を図ることである。このためにはまず,国際観光みやげ品協会加盟店の増加を図ることが必要であるが,その他旅行あつ旋業者のあつ旋するツアーの中にみやげ品購入の時間を組み入れるとか,あるいは,各種のみやげ品が一か所で購入できるように共同販売場を設ける等の方策が有効とおもわれる。第2には,観光みやげ品に関する宣伝を積極的に行なうことである。第3には,観光みやげ品の品質の向上を図るとともに,外客の需要に合つた観光みやげ品の育成を図ることである。この点については,都道府県等を中心に,各種のみやげ品コンクールが行なわれ,後援を行ない,かつ,指導を行なつてきているが,外客向けみやげ品の育成という点については,必ずしも十分な成果が上つておらず,今後いつそうの努力が必要である。以上のほか,観光みやげ品店の従業員の語学能力および接客技術の向上を図ること,輸出物品販売場の増加,免税方法に関しトラベラースチェック方式の採用等の措置を講ずることが必要である。
(4) 産業観光
人々は,他国の美しい自然や歴史的な遺物にひかれると同時に,その国の近代的な産業の姿にも大きな関心をもつものである。このようなところから,自国の産業を旅行者に紹介することは産業観光の名をもつてよばれ,外客の要求を満たし,外客の誘致の一助となるところが大きいところから,諸外国において,近時,きわめて積極的に推進されるようになつた。
わが国においては,従来,自然の風景や文化財を外客に観光されることのみに力を入れ,産業観光のこのような重要性に対する認識が十分でなかつた。したがつて産業観光の受け入れ体制の面でも不十分な状態のまま放置されてきた。すなわち,従来,旅行あつ旋業者についてはわずか3つのパッケージ・ツアーに各工場が組み入れられているだけであり,そのほかには,国際観光振興会の総合観光案内所で,優秀な設備や技術を有する工場,伝統的な技術を有する工場等,わが国が世界に誇りうるもので外客の紹介に適する工場を調査し,この調査に基づきリストを作成し,工場見学の希望をもつて外客が総合観光案内所にあらわれた場合に,はじめてあつ旋の労をとるという消極的な方法がとられているほか,神奈川県が地元観光協会と協力して地方単位に工場見学のあつせんをほそぼそと行なつているという状況であつた。しかも,実際には,工場見学の申込方法や受け入れ工場の見学のための施設,サービスの点でも,また宣伝活動の面でもきわめて不満足な状態であり,このようなところから総合観光案内所や地方公共団体のあつ旋は利用しにくい場合が多く,工場見学を短期間にかつ,快適に行なおうとする外客は,どうしてもわずか3つのパッケージ・ツァーを利用せざるをえなかつた。このような状況に対し,外客とくにヨーロッパからの外客は,観光旅行の目的の一つに工場見学を入れてくることが多く,日本の産業観光の受け入れ体制は未整備で不便であるとの苦情が多かつた。
運輸省は,数年来,先に述べたような産業観光の重要性について関係者の啓葉に努力するほか,旅行あつ旋業者等に対し,産業観光の受け入れ体制の整備を行なうよう指導してきた。その結果,昨年秋よりわが国の代表的な旅行あつ旋業者を中心に新聞社等の民間企業が,協力して,規模および内容において画期的な産業観光の受け入れ体制の整備を行なうこととし,各般の準備を進めている。現在までに,農業から,重軽工業,商業に至るまで各分野における代表的な企業の中から,(1)設備技術がわが国の最高の水準にあること,(2)見学申込方法が簡単であること,(3)休憩室,洋式便所,見学通路,案内標識,駐車場等見学のためおよび危険防止
のための施設が整備されていること,(4)できれば外国語の案内人のいることおよび外国語の案内パンフレットを整備すること。(5)地理的に便利なこと等を標準に約250の企業を選定した。これらの企業の工場は,業種別の専門コース(スペシャルコース)及びいろいろの業種の企業を含むダイジェストコースに編成され,本年秋より外客の見学に供される運びとなつている。また,これらの産業観光コースに関する宣伝印刷物は,国際観光振興会等を通じて内外に配布されることとなつているほか,国際観光振興会の総合観光案内所においても,これら各工場に対する一般的な見学の案内,あつ旋を行なうことができるよう準備を進めることとなつている。
(5) 家庭訪問(ホーム・ビジット・システム)
ホーム・ビジット制度というのは,外客にその国の国民の家庭を訪問する機会を与え,日常の生活をみせ,その家族と交歓の場をもたせる制度のことであつて,諸外国とくに西欧諸国においてよく普及している制度である。
わが国においても,家庭訪問を希望する外客は多く,受け入れ体制もじょじょに整備されてきてはいる。現在,神奈川県,京都市および神戸市において,それぞれ数十軒ずつの家庭が好意でホーム・ビジットのために自分の家庭を提供しており,国際観光振興会の総合観光案内所(東京,京都,羽田)および京都市役所,神戸市役所又は神奈川県庁においてホーム・ビジットに関する情報の提供,案内,あつ旋等を行なつている。また,民間団体である日本ホーム・ビジット協会もこれを行なつているほか,一部の旅行あつ旋業者の中には,直接受け入れ家族を委嘱し,これをツアーに組み入れているものもある。
これらの制度を利用する外客の数も次第に増加しつつあるが,なお,東京におけるホーム・ビジット受け入れ家庭の少ないこと,ホーム・ビジット受け入れ家庭についても,洋式便所の整備されているものが少いこと,言語障壁のあること,受け入れ家庭が組織されていないため,情報交換等が不十分であること等解決しなければならない問題を数多くかかえている。しかしながら,この制度は,一般に受け入れ家庭の好意的奉仕にたよつているためその解決はなかなかむずかしい。
なお,ホーム・ビジットとは異なるが,才リンピック東京大会の開催時およびその前後の期間において急増する来訪外客が,言葉が通じないため不便を感ずることが予想されたところから,国際観光振興会および日本観光協会が中心になつて,国の補助を受けて,約2万5000人の外国語会話司能者に一定のバッジを交付し,善意通訳として道案内をする等外客の日常会話を助けると共に,あわせて,外客にわが国の市民の人情に接する機会を与えることになつた。
(6) 外客に対する優遇策
外客に対する優遇策には,先に述べた,みやげ品購入に関する物品税の免税措置のほか,ノーチップ制,運賃の割引および料理飲食等消費税の非課税措置がある。
イ ノーチップ制 チップ制度は,欧米では社会習慣として広く行なわれているものであるが,わが国においては,一部のものを除いてチップをとる習慣は行なわれていない。このため,国際観光客の間に日本はノーチップの国として声望が高い。事実観光客にとつてはチップの制度がなければ,常にチップのための小銭を用意しなければならないというわずらわしさがなくなるとともに,旅行経費が低減される等の利点がある。
このようなところから,ノーチップ制を徹底させるため,運輸省は昭和37年5月及び昭和39年5月の二回にわたり関係業界に対し指導を行なつた。この施策は世論の支持を受け,着々成果が上りつつあるが,今後そのいつそうの徹底を期す必要がある。
ロ 運賃の割引等 わが国では観光旅行を目的とする15人以上の外国人の団体が,国鉄の一等車に乗車するときには,15〜49人の団体については20%,50人以上の団体については25%の割引がなされている。また,民間の運送機関においても,外客に対する運賃割引の制度を採用しているところがある。
しかし,この点について,観光諸国において行なわれている個人客,
家族客をも含めた,さらに広範囲な割引措置,かつまた大幅な割引率がとられており,特にイタリヤにおいては全国的な規模でオフシーズン期におげるホテル,レストラン,劇場等の料金の割引措置が行なわれており注目される。
ハ 料理飲食等消費税の非課税措置 料理飲食等消費税は,料理店,貸席,カフェー,バー,飲食店,喫茶店その他これに類する場所における遊興,飲食および宿泊等について課せられる都道府県税である。これについては,昭和28年以来,観光を目的とした滞在期間の短い外客(180日以内)が,国際観光ホテル整備法により登録を受けたホテルおよび旅館において,自己の負担により行う飲食および宿泊等について,非課税とされていたが,昭和36年の地方税法の一部改正により,この非課税措置は昭和37年3月31日限りで廃止された。
本措置の廃止は,料理飲食等消費税の税率のきわめて高いことおよびサービス料にまで課税されるという課税方法の不合理さから外客の苦情が多く,わが国の国際観光振興の上に大きな障害となつていた。
ところが,本年はオリンピック東京大会開催の年でもあり,多くの外国人観光客の来訪が予想されたので,地方税法の一部改正により,昭和39年7月1日から昭和39年12月31日までの期間に限つて,外客の旅館における宿泊およびこれに伴う飲食に対し,料理飲食等消費税の非課税措置を講ずることとなつた。しかしながら国際観光の振興の必要性は,オリンピック開催の本年だけに限られるものでなく,将来ますますその必要性が高まるものであるところから,観光関係界のみならず一般にオリンピック終了後も本臨時措置を恒久化するよう望まれている。
|