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2 旅客の内容の変化
前述のとおり,39年度の旅客輸送量は,経済動向に大きな影響をうけることもなく,安定した増加傾向を示したが,ここでは旅客輸送量の増大と旅客内容の変化との関連をみる。
まず,定期旅客についてみるに,産業別就業人口構成の変化,すなわち,第1次産業から第2・3次産業への労働人口の移動の傾向,学生数の増加等により,通勤・通学輸送量は近年著しく増大してきている。
総理府統計局の,「労働力調査」および文部省の「学校基本調査」により,39年度の労働人口および学生数の変動をみると,全産業の就業者数は年度平均で,38年度より約52万人(約1.1%)増の4,690万人であり,産業別の割合では,第2・3次産業が38年度の71.3%から72.9%へ増加しており,一方,大学,高等学校等の学生・生徒数は,38年度より約81万人(16.8%)の増加を示している。この結果,通勤・通学旅客輸送量は増加し,国鉄の定期旅客輸送量は,44億3,400万人(対前年度比106.5%),746億人キロ(対前年度比106.3%),私鉄については54億600万人(対前年度比106.8%),502億1,900万人キロ(対前年度比105.6%)の実績をみせた。定期の1人平均乗車キロでは,国鉄は前年度に比べ,0.1キロ減少,私鉄は0.1キロの増加で,都心周辺部の私鉄沿線地帯の人口増を反映している。
定期外旅客については,まず,観光旅客の増大があげられる。経済企画庁の「消費者動向予測調査」,内閣審議室の「旅行に関する世論調査」,および日本観光協会の「国民の観光に関する動向調査」により,消費者の側からみた過去1年間の観光慰安旅行の動態を見ると 〔1−1−21表〕のとおりであり,国民の相当数が,1泊以上の観光旅行をし,その旅行形態では,団体での旅行が多かつたことがわかる。このような輸送需要を反映して,その大半が観光目的に用いられる貸切バスの輸送人員は,対38年度比13%増の1億9,000万人となり,国鉄の周遊券の利用人員は,対38年度比9.1%増の480万人の実績をあげている。国内旅客船についても,別府航路のような観光路線においては,相当数の利用増がみられた。
〔1−1−22表〕 〔1−1−23表〕,および 〔1−1−24図〕により示されるように用務旅客は,鉄道定期外旅客および航空旅客の中心であり,また,乗用自動車利用者の大半は用務旅客となつている。とくに昨年開業した東海道新幹線は,東海道沿線の用務旅行者にとつて便利なものとなつている。
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