1 世界海運の動向


  1964年の世界経済は,米国の4年間にわたる好況の持続もあつて全体としては好調な成長を示した。世界の貿易額もこれを反映して1,513億ドル(FOB建輸出額)に達し,対前年比12.2%の増加となり,1963年の増加率9%をさらに上回つている。また,世界の貿易数量は,数量指数(1958年=100)によれば,1963年の141に対し155と大幅な増加をみせている。したがつて,1963年に13億6,000万トンであつた世界海上貿易量は15億トン程度に増加しているものと予測される。なかでも近年の石油輸送量の増加は著しく,現在,世界海上荷動量の過半を占めるにいたつている。
  1964年6月末において,世界の商船(100総トン以上の鋼船)船腹量は4万859隻,1億5,300万総トンに達し,前年同期より1,288隻,714万総トン,4.9%の増加を示した。とくに油送船の増加はめざましく,344万総トン,7.3%増加して5,056万総トンとなつた。一方,油送船以外の商船の増加は370万総トン,3.7%増にとどまつた。
  新造船の竣工量は1964年は973万総トンにのぼり,例年より100万総トン程度増加している。一方,解体・海難喪失船舶は,1961年以降400万トン台にとどまつている。
  海運市況は,世界貿易の好調にささえられ,高水準に推移し,不定期船運賃指数(英国海運会議所調べ。1960年=100)は,1963年の109.0を上回る112.1となつた。しかし,油送船市況は,貨物量の増大にもかかわらず,新造大型油送船の市場投入が増大したため,とくに,不需要期である夏季における市況は不振をきわめ,ノルウェー・シッピング・ニュース誌調査のドル建運賃指数(USMCレート=100)は,1964年年間平均では47.5と前年の54.6を大きく下回つた。
  係船量は,最近著しく減少しており,1964年7月で,貨物船では36万総トン,油送船では40万総トンである。
  1964年6月末における各国の商船保有量(ロイド統計による)は,米国2,243万総トン,英国2,149万総トン,リベリア1,455万総トン,ノルウェー1,448万総トン,ついで日本が1,081万総トンで第5位となつている。過去1年間の国別増加量は,リベリアが315万総トンで最も多く,ついでソ連が152万総トン,日本が84万総トン,ノルウェーが81万総トンとなつており,逆に米国は70万総トン減少し,ギリシャは21万総トン,オランダ,フランスが11〜12万総トン減少している。


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