2 昭和39年の日本海運


(1) 昭和39年の日本貿易

  昭和39年のわが国の貿易額は,通関輸出66億7,300万ドル,通関輸入79億3,800万ドルとなり,対前年比それぞれ22.4%,17.8%の増加を示し,とくに,輸出の増加は著しかつた。39年における船舶による貿易数量は輸出1,764万トン,輸入1億7,383万トンで,39年においても,輸入数量は輸出数量の約10倍となつており,このような数量の輸出入アンバランスは,資本の貿易形態の特色となつている。船舶輸出を除く日本の輸出品の主なものは,鉄鋼,綿織物,衣類,金属製品,ラジオ受信機,自動車,光学機器,魚介類などであるが,輸入は原油,重油,鉄鉱石,石炭,木材,穀類,塩などが多い。

  わが国の貿易を地域別にみると 〔1−2−3表〕に示すように輸出,輸入ともに北アメリカおよび東南アジアを主要対象国としている。また,主要輸入品目の国別輸入状況は,原油がクエイト,サウジアラビアなど中東の国からの輸入が圧倒的に多く,日本――ペルシャ湾航路は日本への原油輸送の大動脈を形成しており,鉄鉱石は南米,マラヤ,インド,北米等から,石炭は主として北米,オーストラリア,小麦は北米,オーストラリア,綿花は主として北米,メキシコから輸入している。

(2) 昭和39年のわが国外航海運

  このような日本の貿易を反映してわが国の外航商船隊は,昭和39年には輸出貨物898万トン,輸入貨物7,728万トン,三国間貨物238万トン,合計8,864万トンを輸送した。これは前年と比較すると,輸出貨物輸送で13.6%,輸入貨物輸送で13.8%増加し,三国間貨物輸送では30%減少したが,合計で12.0%の増加である。その結果,日本船の獲得した運賃収入は,輸出輸送2億1,875万ドル,輸入輸送5億1,784万ドル,三国間輸送4,810万ドル合計7億8,469万ドルとなり,対前年比13.4%の増加となつた。この間,日本の貿易数量は,輸出で10.5%,輸入で20.2%増加し,貿易数量に占める日本船の輸送量の比率,すなわち,邦船積取比率は,輸出においては50.8%,輸入においては44.5%となり,前年の輸出積取比率49.6%,輸入積取比率46.9%と比べると,輸出輸送ではやや上昇したが,輸入輸送では低下した。
  40年3月末における日本の外航商船隊は,合計830万総トンとなり,年間増加量は87万総トンであつた。そのうち貨物船は26万総トン,油送船61万総トンであり,近年油送船の増加は著しい反面,定期貨物船や不定期貨物船の増加はやや停滞気味である。


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