4 航空輸送施設


  旅客輸送の分野で近年大きな伸びをみせている航空輸送の拠点として,空港の整備はここ数年,急速に進められている。昭和39年度の投資実績は38年度で第1期拡張工事が一応完了した東京国際空港への投資が前年度実績のわずか12%に減少したため,前年度を若干下回り,54億円(国費のみ)であつた。
  大阪国際空港については33年度から総事業費170億円の規模をもつ整備計画が進められていたが,39年度から本格的な工事が開始された。
  また,ローカル輸送量の伸びに対応して名古屋,広島,松山を中心として第2種空港には対前年度比66.7%増の投資が行なわれており,離島の空港等主として地方的な航空輸送を確保する第3種空港への国からの投資額も対前年度比41%増と大きく伸びている。
  一方,輸送需要の増大に対応して航空機の投入は活発であり,双発以上の民間の飛行機は38年度末の169機から,39年度末の180機へと6.5%の増加がみられ,また,運航回数も対前年比34.8%増となり,航空機の大型化,高速化を考慮すると,空港整備はかなり立ち遅れている状態にある。
  第1期拡張工事が完了した東京国際空港についても,その後の航空機の発着回数は予想を上回るものであり,定期航空では39年で前年より38%増加して,1日平均233回に達している。
  輸送需要の増大に伴うこのような航空機の発着回数の増加によつて東京国際空港は,今後の施設の整備を考慮しても,45年頃にはその能力の限界に達すると考えられる。しかも,現空港においては,近い将来に世界の主要国際航空路線に登場すると予想されている超音速旅客機(SST)を受け入れることは不可能である。このような現空港の量的,質的行きづまりに対処するため,わが国の表玄関にふさわしい大規模な新国際空港を建設することが急務となつている。
  以上のような新航空港建設の必要性に基づき,運輸省においては,37年以来種々の調査,計画を進めてきたが,40年6月1日には新東京国際空港公団法が成立する運びとなり,新空港建設はいよいよ本格的段階に入つた。


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