1 国鉄


  国鉄の輸送力増強のための長期計画は,昭和32年度を初年度とする,総額5,986億円の投資規模をもつ第1次5カ年計画に始まり,つづいて36年度から総額1兆3,491億円(補正後)の第2次5カ年計画に入つたが,いずれの計画も,経済の急速な成長に伴い輸送量が予想を上回つたことなどのため,最終の年度にいたらないうちに次の計画へと切り換えられた。
  第2次5カ年計画は1年早く打ち切られ,40年度から新長期計画(昭和40〜46年度)が実行に移されている。この計画の投資規模は 〔1−4−3表〕に示すように,第2次5カ年計画の2倍以上の規模である総額2兆9,720億円にのぼり,前期(40〜43年度)年平均約3,700億円,後期(44〜46年度)年平均5,000億円の規模で,重点を直接的保安対策,大都市附近の通勤輸送の改善,幹線輸送力の増強の3点に置いて,投資が行なわれる。

  この計画によつて,保安対策としては列車自動停止装置の設置,踏切道の改良等が,通勤輸送の改善としては中央本線(中野・三鷹間),大阪環状線(今宮・天王寺間)等の複々線化工事が,また,幹線輸送力の増強としては東北本線,北陸本線等の線路増設工事が,それぞれ強力に進められる。
  このほか,計画には,電化工事,車両の増備,操車場の近代化等が含まれており,この計画の遂行によつて 〔1−4−4表〕のような改善がみられる。

  なお,輸送需要の増大に対処するためにはこの国鉄の計画に並行して,武蔵野線(北小金・新鶴見間),根岸線(磯子・大船間),京葉線(木更津・塩浜間)等の新線建設を日本鉄道建設公団が行なう必要があり,その建設費は46年度までに1,300億円となつている。


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