2 路面交通混雑の改善


  路面交通混雑を改善するためには,基本的には道路網を整備することが必要である。昭和39年度においては,オリンピックを期として東京においては都市内の高速道路が着々と整備され,39年9月には首都高速道路1号線(羽田空港・本町間)および4号線(常盤橋・幡ケ谷間)等が開通し,全長31.6kmとなつた。また,大阪でも同年11月に阪神高速道路1号線(土佐橋・難波間)が完成し,営業中の路線と合せて,全長3.2kmが開通した。道路整備5カ年計画によれば,39年度から5年間に首都高速道路に2,250億円,阪神高速道路に1,350億円の資金を投入して,44年3月までに高速道路延長を首都については103km,阪神については52kmにすることとなつている。
  道路の整備とあいまつて路面交通混雑緩和に大きな効果をもつものに,自動車ターミナルおよび駐車場の設置がある。自動車ターミナルは,海上輸送における港湾に相当するものであつて,旅客,貨物の多数集散する交通系路上の要地に設置することにより,交通混雑の緩和,路面交通安全の確保,輸送力の増強等が図られる。39年11月現在における三大都市の自動車ターミナルの現況は 〔1−4−8表〕のとおりであるが,最も緊急度の高い大都市において,ほとんど整備されていなのが現状である。このため,運輸省は全国各都市における輸送需要の動向,人口の分布,路線網の形態,運行回数等を考慮し,自動車ターミナル整備を策定し,交通系絡上重要な地点に自動車ターミナルを整備することとしている。
  また,都心にあるトラックターミナル,倉庫,問屋,市場等の流通施設を収容する大規模な流通センターを大都市の外周部に設け,大都市における路面交通の渋滞とこれに伴う都市機能の低下を改善することを目的とした流通センター計画が進められている。この計画の一環として,トラックターミナルの建設を促進するために,日本自動車ターミナル株式会社法(昭和40年法律第75号)が制定され,特殊法人日本自動車ターミナル株式会社が40年度に設立されることとなつた。この特殊会社は,政府,東京都および民間の出資と開発銀行および市中銀行の融資により,40年度を初年度として前述の東京都,大阪市および名古屋市で計9ヵ所のトラックターミナルを整備することとしている。
  上記のような施設整備のほかに,路面交通混雑緩和策として交通規制が行なわれている。東京では37年4月より東京都公安委員会告示第37号に基づき,主要路線のほとんどについて,大型車の通行が制限又は禁止され,また,大阪についても38年3月より市内の主要路線について大型車両の通行が制限又は禁止されている。
  一方,法的規制と並行して輸送関係の団体が自主的に早朝夜間運行,早朝夜間の貨物の仕入などを実施している。また,車庫等の保管場所のない自動車が多数路上に放置されると道路の適正な使用を阻害し,交通の混雑に拍車をかける原因となるので,これを防ぐため37年に自動車の保管場所の確保等に関する法律が制定され,自動車の保有者は道路上以外の場所に自動車の保管場所を確保しなければならないこと,一定の区域においては保管場所を確保していることを証する書面を提出しなければ自動車の登録が受けられないことなどが強制されている。


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