4 生産性の動向


   〔1−5−5図〕によつて労働生産性(常用労働者1人当り粗付加価値額)の推移をみると,昭和36〜38年度で全産業,製造業はそれぞれ20.6%増,14.1%増となつているが,運輸業においてもこれとほぼ同様ないしそれを上回る程度の上昇がみられる。しかしながら労働生産性の水準を比較してみると 〔1−5−6図〕に示すとおり,外航海運業,航空運送業,倉庫業,内航海運業が全産業,製造業よりも高いが,それ以外はいずれも低い。
  労働生産性は,労働装備率(有形固定資産÷常用労働者)と設備投資効率(粗付加価値額÷有形固定資産)の積として考えられるので,これによつて労働生産性の差異をみることにしよう。

  労働装備率は,年々上昇しており,36〜38年度で全産業,製造業はそれぞれ22.9%増,28,4%増となつているが,運輸事業においても,私鉄乗合バス,トラック運送事業,通運事業,倉庫業等をはじめ,年々上昇している。労働装備率の水準についてみると 〔1−5−6図〕に示すとおり,全産業平均に比べ運輸事業においては,外航海運業,航空運送業,国鉄,内航海運業,倉庫業など資本設備の大きい業種はいずれもこれを上回つている。しかしながら,これらの業種は,倉庫業を除き,いずれも設備投資効率が低い。これに対し,自動車運送事業,通運事業においては,労働装備率が低く,設備投資効率は比較的高いものの生産性の水準としては低くなつている。


表紙へ戻る 次へ進む