6 財務状況
まず,資産構成についてみると, 〔1−5−9表〕に示すとおり,運輸事業はいずれも固定資産の比率が高く,総資産のうち7割前後を固定資産が占めている。とくに固定資産比率の高いのは,鉄道業,海運業等大規模な固定設備を必要とする事業である。自動車運送事業などは比較的低いが,それでも,全産業の46.7%,製造業の43.2%に比べれば高い。
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このように固定資産の比率が高いことが運輸事業の特徴であり,これが一方では経営の硬直化を招く一つの要因となつている。
つぎに,使用総資本のうち,自己資本がどの程度のウエイトを占めているかを同じく 〔1−5−9表〕によつてみると,国鉄,倉庫業を除き,運輸事業はおおむね20〜30%前後と,全産業,製造業と同様に自己資本比率が低く,他人資本に大きく依存している。
つぎに,財務の安全性を示す指標として,固定比率(固定資産÷自己資本),固定長期適合率(固定資産÷長期資本),流動比率(流動資産÷流動負債)の三つをとりあげ,運輸事業がいかなる状況にあるかをみよう。
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また,企業財務の流動性を表わす重要な指標である流動比率についても,運輸事業は100%を下回る。すなわち流動負債の方が流動資産よりも大きい業種が多く,全産業の107%,製造業の116%に比べ一般に悪い。
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