2 輸送方式の合理化


  近年の著しい輸送量の増大に対応して輸送施設の整備および近代化への努力が払われているが,輸送の方式についても合理化や新方法が研究開発されている。

(1) 鉄道における輸送方式

  まず,従来の貨車中心の輸送方式から列車中心の方式に変つてきていることがあげられる。鉄道は単に荷主へ貸車を提供するということであつたのが,定日,定時刻に設定され運転される列車を中心にして直接列車に需要を集める方式をとりつつある。これによつてヤードにおける時間と費用の節減,輸送時間の短縮,商取引のタイミングに合つた輸送をすることができるというメリットがある。そのためには高速貨物列車の増発,とくに都市間高速列車の新設や荷主との長期間の輸送契約を結ぶことへの積極的努力が必要である。さらに,コンテナ輸送方式があげられる。昭和34年に国鉄で330個のコンテナー,55両のコンテナー専用車で開始されてから39年にはコンテナー数およびココンテナー専用車両において約6倍のそれぞれ1,936個,326両となつている。この方式のメリットは戸口から戸口までの一貫輸送と積卸荷役の機械化および荷造包装の簡易化による流通経費節減にある。しかし,コンテナー輸送を効果的に行なうためには各種コンテナーの開発およびコンテナー輸送と集配サービスの一元化が必要であり,コンテナーセンターも設置されてきている。このほかに,新しい輸送方式としてパレット輸送方式がある。貨物をパレットに積んで1個の大きなユニット貨物として行なう一貫輸送,すなわち一貫パレチゼーションの採用が漸次上昇している。この方式については,パレットプール制,パレットの種類,規格,パレット方式に関する運賃,料金制度,専用貨車および荷造包装の標準化等の検討課題が残されている。

(2) 道路における輸送方式

  可動施設としてのトラックは大型化,特種化が行なわれているが,戸口から戸口への一貫輸送という場合,つぎのような方式があげられる。
  まず,高速道路を利用することによる輸送方式として,都市間の基幹輸送と都市内の集配とが分離され,それらがターミナルによつて結合される方式がある。基幹輸送には大型トラック又は大型トレーラーが,一方,都市内輸送には小型トラックが使用され,その積替えがターミナルで行なわれることになるが,一貫輸送の面から当然コンテナーおよびパレットに関する問題を考慮しなければならない。
  また,他機関との協同輸送方式として道路と鉄道や道路と海上などが考えられる。たとえば,ピギーバック(貸物を積載したままの状態でトレーラーごと貸車に積んで輸送する方式)又はフレキシバン(トレラーのバンボディのみを大型のコンテナーとして貸車に積む方法)およびフィッシュ・バックといわれる船と自動車との協同輸送が開発されている。

(3) 海上における輸送方式

  陸上においては輸送方式の合理化としてコンテナリゼーションやパレチゼーションによる輸送方式が近年ますます増加してきているが,一方,海上においてもバージラインシステムといわれる押航艀船団方式,すなわち船舶の推進操縦部分と船倉部分とを分離して,押船(プッシャー)と艀(バージ)とし,幾つかのバージを組合せて運航する方式が開発されてきた。このメリットとしてはハッチウェイが大きく荷役が容易であり,押船および艀としての稼動率がよいことなどがあげられる。反面,バージングターミナルや曳船の必要,低速,耐航性の不足および操縦性能等に今後の課題がある。また,パレットシップ方式やコンテナー輸送方式も検討されており,さらに,フェリーボートによる輸送方式(自動車航送船の方式)もある。わが国のように大小の島々が,比較的近距離に散在する地形では,トラック,バス,乗用車等を旅客や貨物を積んだまま,積みかえや乗りかえなしで海上を自動車道として利用できるので今後とも伸びる性質をもつている。


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