1 国鉄の輸送力増強国鉄においては,東京都および大阪府を中心とする大都市交通圏において年々増大する輸送需要に対処するため,第1次5カ年計画(32年度〜35年度)において298億円,第2次5カ年計画(36年度〜39年度)において427億円を投入して輸送力の増強に努めてきた。 すなわち,東京附近では,中央線中野・三鷹間の線増(中野・荻窪間の2線高架が39年9月完成,引続き工事中)39年度約200両の車両増備,山手線全電車8両,総武線10両等の電車編成両数の増大,最小運転時隔時間帯の延長,根津線の開通(39年5月),新宿駅,渋谷駅等の改良,川崎火力発電所の増設小岩変電所,四谷変電所の新設等を行なつた。 大阪附近では,大阪環状線の完成(40年5月)片町線,鴫野・四条畷間の線増(鴫野・放出間の高架化は39年4月一部完成,引続き工事中),39年度約40両の車両増備,電車編成両数の増大,元町駅の改良,鳳変電所の新設等を行なつた。第2次5カ年計画中通勤輸送対策投資の進ちよく状況は, 〔I−(I)−21表〕のとおりである。
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また39年度の通勤電車の輸送力増強対策の実施状況は 〔I−(I)−22表〕のとおりである。
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このような輸送力増強対策にもかかわらず,通勤旅客の著しい増加のため,第2次5カ年計画の目標年次である40年度における輸送状況は,線区によつては依然として定員の2.8倍以上という混雑が予想されるので,大幅な混雑緩和のために,40年度からの新長期計画においては,次のような対策を構ずることとしている。
(1) 通常,通勤者のたえうる混難度は定員の2.6倍とされているので若干これよりゆとりのある2.4倍程度に混難を緩和することを目標とする。
(2) 増発の余力のある山手線,京浜東北線等の主要線区を10両編成2分10秒間隔運転とするほか,各線の編成両数増大と運転間隔の短縮を図る。
(4) 以上の線路増設に関連して,東京,上野,新宿,大阪,天王等等のターミナル改良及びホーム延伸等,編成長増大に伴う諸施設の整備を行なうとともに,車両基地,工場等についてもその設備を改善する。
この他に,東京外環状線(新鶴見・北小金間および南浦和・大宮操間),湖西線(山科・沓掛間)等の建設は日本鉄道建設公団が行なうこととなつている。
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