2 民営鉄道の輸送力増強


  39年度はオリンピック東京大会開催年であつた関係からも都市交通混雑緩和策が特に推進されたが,東京,大阪,名古屋の主要線区におけるラッシュ時1時間の輸送力は39年度は対前年度比108%の増加をみた一方輸送需要は対前年度比111%と増加したため,混雑度は206%から214%と若干増加した。
  最近の都市鉄道への投資実績は 〔I−(I)−23表〕のとおりであるが,全体では39年度は993億円で38年度とほぼ同額となつている。公営,営団はそれぞれ22%,10%増であつたのに対して,大手14私鉄は38年度が第1次3カ年計画の最終年度である関係から大きな工事が集中したことと,39年度が第2次3カ年計画の初年度であり,また,一般的な金融の引締による資金難等により計画どおり行なうことができなかつたこと等から対前年度比83%の441億円にとどまつた。

  なお39年度中に竣工した主たる工事は次のとおりである。
  まず地下鉄道では,東京においては,営団日比谷線(中目黒〜北千住)のうち恵比寿〜中目黒(0.6キロ)東銀座〜霞ケ関(1.7キロ)が完成したことによつて全線が開通し,これにともない東武,東急との相互直通運転を実施した。東西線(中野〜東陽町)は高田馬場〜九段下(5.4キロ)が部分開業した。また,東京都営地下鉄1号線は新橋〜大門(1.1キロ)が完成し,開通区間は押上〜大門間9キロとなつた。
  大阪においては大阪市営地下鉄1号線の梅田〜新大阪(3.5キロ)が東海道新幹線の開業に合せて完成して営業を開始し,4号線の弁天町〜本町(3.9キロ)が開業した。
  郊外私鉄では,京王帝都電鉄の新宿〜初台間の地下移設工事が完成し,踏切り11カ所の除却を行ない,阪神電鉄は難波乗入線のうち千鳥橋〜西九条(1.2キロ)を完成した。
  また,大手14私鉄は車両611両を新造して輸送力の増強に努めた。


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