3 運賃問題


(1) 運賃水準について

  国鉄運賃は 〔I−(I)−31図〕に示すとおり現在,他の諸物価特に公共料金やサービス料金等に比較して,極めて低位におかれている。このことは,国鉄運賃が,国民生活,国家の産業活動に及ぼす影響を考慮して,戦後のインフレこう進期には常に,物価を追つて,しかも低位の値上げしか認められなかつたことと,最近における低物価政策による公共料金の値上抑制措置がとられてきたことによるものである。

(2) 運賃制度について

  運賃制度についてみると現行の国鉄運賃制度は,沿革的,歴史的所産によるものが多く,とくに他運輸機関の発達とも関連して,種々不合理な面が内在している。
  主な問題点を指摘すると

 (@) 旅客運賃

     (ア) 国鉄の普通旅客運賃は,現在300キロを境界とする2地帯制の遠距離逓減制賃率をとつており,第2地帯の賃率は,第1地帯賃率の100に対し49となつているが,これは理論的根拠にとぼしく,利用者の負担の公平をはかる趣旨から距離比例制についても考慮すべきであろう。なお,諸外国においても,そのほとんどが距離比例制を採用している。
     (イ) 普通旅客運賃の最低運賃は,1キロから3キロまで2等10円となつているが,これは,昭和26年に改訂されたもので,その後のコスト増からみて問題があろう。
     (ウ) 定期旅客運賃は,戦中,戦後の混乱期における政策的なもので,割引率が極めて大きく,法定割引限度との差額は39年度において602億円(推定)に達している。定期旅客の国鉄輸送に占める割合,さらに都市交通緩和の緊急性からみて,その割引率を是正すべきであろう。

 (A) 貨物運賃

     (ア) 現行の車扱貨物運賃は,貨物等級に従つて賦課される制度となつているが,この貨物等級制度は,鉄道に託送される貨物の価格に応じて,運賃負担に差異を設ける制度,いわゆる負担力主義運賃の立場に立つた従価等級制度である。
      近年他運輸機関の発達等輸送情勢の変化にかんがみ,これに即応して原価主義運賃制度を採用し,平均的運送費用に対応した単一の賃率(基準賃率)を設け,ただ,その適用にあたつては,積載貨物の容積と重量との関係をも考慮した運賃計算制度を採用することも考えられる。
     (イ) 公共政策に基づく貨物運賃割引には,貨物暫定割引,災害救じゆつ用品,農業移住者引越荷物,博物館資料等に対する割引がある。貨物暫定割引は,貨物運賃改訂のつど,関係方面の要望で行なわれてきたものであるが,これが,他の公共割引をも含めて,国鉄経営を圧迫していること又運賃負担の公平の見地からも,何らかの是正措置が必要であると考えられる。


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