3 労働問題
民営鉄道の従業員は,公営,私鉄をとわず,事業者単位に労働組合を結成しているが,それらの組織の大部分は発生原因別に連合体を結成している。公営にあつては日本都市交通労働組合連合会(略称,都市交通),私鉄にあつては日本私鉄労働組合総連合会(略称,私鉄総連)と全国交通運輸労働組合(略称,交通労連)が上部団体となつており,更に都市交通と私鉄総連は総評に,交通労連は同盟に加盟している。これらの組合にはバス,ハイヤー,トラック等関連事業の従業員も加盟しており,都市交通6万8千人,私鉄総連20万人,交通労連6万5千人の組合員を擁している。
民営鉄道の従業員の給与は,一人平均基準賃金3万1,620円(昭39年12月現在)であるが,大都市周辺の大手私鉄14社及び営団の平均は30,502円,中小私鉄の平均は2万6,634円,六大都市の公営の平均は4万569円,その他の公営の平均が3万6,091円となつている。ここで一番目につくのは六大都市の公営が著しく高いことである。同一の地理的条件にある大手私鉄にくらべて実に1万円の違いがあるが,基準外賃金を加えるとさらにその差は大きく1万7千円以上となり,その他の公営でも大手私鉄にくらべて基準賃金で6千円の開きがある。中小私鉄は大手私鉄にくらべて4千円低くなつており,基準外賃金を加えて比較すると6千円の差がみられるが,その差は年々縮小の傾向にある。
賃金に密接な関係をもつ労務構成では,39年11月現在で平均年令が大手私鉄34.1年,中小私鉄35.2年,公営では六大都市37.7年,その他が36.1年となつており,平均勤続年数では大手私鉄13.6年,中小私鉄12.1年,公営では六大都市14.8年,その他が11.4年となつている。六大都市の公営は大手私鉄にくらべて平均年令,平均勤続いずれも若干長くなつており,これを考慮に入れれば給与の格差は多少縮まるものと思われる。
中小私鉄及び六大都市以外の公営は平均年令が高い割合に平均勤続年数が低い。これは学校卒業直後の就職が少ないことを物語つている。
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