1 国鉄事故の現状


  39年度の運転事故の総件数は,18,710件で,前年度に比べて約8%減少を示し,また列車100万キロ当り件数は,33件で,前年度に比べ10%の減少を示した。
  原因別にみると 〔I−(I)−43図〕に示すように,部内原因29%,部外原因63%,災害8%となる。さらに部内原因のうち,鉄道従業員の責任による事故は, 〔I−(I)−44図〕のとおりである。

  次に,列車衝突,列車脱線等の列車事故は,98件で前年度に比べて3件(3%)の減少を示している。この列車事故には,踏切関係25件(26%),災害14件(14%),列車妨害8件(8%)が含まれている。
  39年度の踏切事故は,2,513件で,前年度に比べて,319件(11%)の減少をみた。なかでも踏切事故による重大事故は著しい減少を示した。
  39年度の重大事故は,7件で,前年度に比べて10件減少している。
  運転事故による死傷者数(自殺者を含まず)は,5,439人で,前年度に比べ,死者において248人(26%),負傷者500人(27%)減となつている。このうち踏切事故による死傷者数は,約88%を占めており,このことはいかに踏切事故が重大なる位置を占めているかを物語つている。
  39年10月開業した東海道新幹線における運転事故は,その総件数214件で,列車100万キロ当り件数は,39件となつた。開業当初の10月には,車両故障信号装置故障,転てつ装置故障,送電故障等の初期故障が多く,62件を数えたが,これら故障事故に対して緊急に整備を行つた結果,11,12月には,10数件に止つた。しかしながら1,2月には,降積雪のため車両故障等の初期故障が多く発生し,再び40数件を数えた。これらの車両故障は,絶縁部に雪が附着した結果によるもので,直ちに改造を行つている。また,新幹線は,築堤部分が多く,豪雨により築堤法面の崩かい等の事故が多発する傾向がみられる。


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