2 自動車の生産および販売
(1) 生産
昭和39年度のわが国自動車工業は前年度に引き続いて著しい発展を示し,生産台数は別表のとおりで,四輪車以上で175万台を超え,対前年度比25%の増加となつている。生産は依然として多用途多種化の傾向が続き,昭和39年中に新たに生産された型式数は乗用車23,トラック91,バス21の多きに達した。1車種当たりの生産台数は,需要の増大と量産技術の進歩により1車種単独,または同系列車を含んで月産1万台を超えるものが現われてきた。
乗用車の生産は約62万台に達し,前年度より38%の増加となつて,今後の発展の方向を物語つている。特に定員5人までの800t〜1,500cc車が充実し,加速,高速性能は格段の向上を見せている。
トラックは約112万台生産され,最大積載量2トン以下の小型車が多いが,7トン以上の大型車も漸増しつつある。また,小型にもジーゼル車の進出が著しい。
バスは1.4万台(55%増)生産されたが,高速バス及び小集団用のマイクロバスが進出した。
(2) 販売
昭和39年度中において国内で約150万台の自動車(四輪車以上)が販売された。内訳は,トラック95.2万台,乗用車53.1万台,バス1.6万台である。39年度の傾向で注目されるのは,第一に乗用車(軽自動車を除く。)の販売先業種別内訳で,個人向けが12.2万台(22.9%,前年度は16.7%)に対しハイヤータクシー業は8万台(15.1%,前年度は19%)となり,これまでハイヤータクシーがもつとも大きな比重を占めていたのが,オーナードライバーがこれに代つたこと,第二に乗用車の販売台数に占める新規購入の比率が36・7%と前年度の29.9%を大きく上回つたことである。これは乗用車の需要が個人中心となり,しかも需要層が拡大していることを示し,わが国の自動車産業は,量的拡大とともに欧米型のファミリーカー中心の市場構造に転換しつつあるといえよう。
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