2 経営内容


  以下に述べる数字は,トラック事業の各業種について,路線50者,区域および小型はそれぞれ40者を昨年度と同様,保有車両数規模別の分布に比例するよう抽出し,それらの事業者の経営内容を集計分析して作成した資料によるものである。

(1) 収益性

  トラック事業の収益性は,39年度において,路線トラック,区域トラック,小型トラックともに著しい低下がみられる。すなわち,総資本回転率はほぼ横這いであるが,営業収入利益率が著しく低下したため,総資本利益率が,路線トラック,区域トラックともほほ2%の低下となり個人を含む零細企業の多い小型トラックは4%の落込みとなつている。
  かかる収益性の悪化の原因は,景気後退の影響によるものであるがこれとともに人件費,金融費用などを中心としたコスト増が収益性を圧迫している。

(2) 生産性

  トラック事業の従業員一人当りの付加価値(労働生産性)をみると,39年度においては,区域トラック,小型トラックは続伸したが,路線トラック部門では2%の減少がみられた。
  これを労働装備率と設備生産性によつてみると,労働装備率は,区域トラック,小型トラックともに増加しているが,路線トラックはやや減退しており,設備生産性は,区域トラックおよび小型トラック部門は38年度に比べそれぞれ17%,24%の増加がみられ,かなりの投資効果がうかがえるのに対し,路線トラック部門はほぼ横這いとなつているため,これらの相乗積である労働生産性が区域トラックおよび小型トラックでは増加し,路線トラックでは減退となつたものである。ここ数年来,自動車運送事業のうちでも成長の中心部門である路線トラックでの生産性の停滞は,ターミナル,車両,営業所などへの投資が不況による手控えにより,労働装備率が減少したためである。
  また従業員一人当りの人件費の伸長率は,生産性の伸びを上回つており,経営上の問題となつている。

(3) 資産および資本

  自動車運送事業は,一般に総資産中に占める流動資産の割合が小さく相対的に固定資産の占める割合が大きいが,貨物部門は運賃未収債権を主とする未収金の割合が,旅客部門よりほぼ10%大きいため固定資産の割合も旅客部門よりそれだけ小さくなつている。しかし,トラック事業の資金運用の中心は,固定資産投資が重点である。
  固定資産封長期資本比率は路線トラック,区域トラック,小型トラック,いづれの業種とも100%を超えており,資金の固定化部分に流動負債の短期的資金を運用しており不健全である。
  自己資本比率は路線トラック20.5%,区域トラック17.4%,小型トラック25.2%といづれも全産業平均を下回つている。また負債比率は39年度で路線トラック386%,区域474%,小型296%となつており,全産業平均を上回つている。


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