第3節 被害者の救済
交通事故の大半を占める自動車事故は,近年ますます増加の一途をたどつており,その発生防止のための対策強化が必要であることは上述のとおりであるが,他方すでに発生した事故による被害者の救済をはかることもきわめて重要である。
このため昭和30年に制定された自動車損害賠償保障法は,自動車による人身事故につき自動車側の責任を事実上無過失責任に近づけるとともに加害者の損害賠償債務の履行を確保し,被害者の実質的救済を目的とする諸制度を設けた。以来10年になるが,その間同法は,不十分とは言いながら被害者の救済に大きな役割を果してきている。
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