3 三国間輸送
昭和39年における郵船の三国間輸送による運賃収入は173億円で,前年にくらべ5%の減少であつた。これは,定期船の三国間輸送がほぼ横ばい,不定期貨物船の三国間輸送が若干伸びているのに対して,油送船の三国間輸送が前年の半分以下に激減したためである。
この三国間輸送実績を船種別にみると,定期航路の外国寄港地相互間における定期船の三国間収入が,全収入の84%を占めており,不定期貨物船および油送船の三国間収入は,全収入のそれぞれ10%,6%を占めているに過ぎない。
邦船による三国間輸送実績の推移は 〔II−(I)−6表〕のとおりで,32年をピークにして33年以降逐年減少し,最近数年間は横ばいに推移している。これは,スエズ動乱終息後に到来した深刻な海運不況の中にあつて,三国間航路を維持経営して行くことは,国際競争力の弱いわが国海運企業にとつて,非常に困難なことであつたことも一因であるが,また,定期航路の伸び悩みと貿易量の激増に対応する船腹不足で三国間に進出する余裕のなかつたことが大きな原因とみられる。
したがつて,今後,邦船の三国間輸送を積極的に振興してゆくためには,先ず商船隊の整備拡充によつて船腹不足の解消を図るとともに定期航路における三国間輸送をできる限り促進する一方,不定期貨物船および油送船の分野においても,三国間市場開拓の努力を絶えず続けて行くことが必要である。
幸い,海運企業の再建整備,船舶の大量建造とこれに伴う一連の助成措置の実施により,海運企業の体力の強化が図られてきたこと,三国間専従船に対する開銀融資が認められ,外国船に十分対抗しうる競争力を有する船舶の建造が可能となつたこと等により,今後の三国間輸送への進出には明るい見通しが立
てられることになつた。
|