1 概説


  昭和39年度は,内航海運業法および内航海運組合法のいわゆる内航2法が成立し施行され、内航海運の再建についての総合的な施策の第一歩が踏み出されることとなつた年として,内航海運界にとつて重要な年であつた。すなわち慢性的な船腹の過剰傾向を是正するために,適正な船腹量を定めるとともに,最高限度が設定されて,船腹量の抑制が図られることとなつた。また過当競争を避け自主的な協調体制を確立するために,海運組合の組織化が進み,全国的組織の5組合が結成され,さらにこれらを一本にした総連合会結成の体制がととのえられた。また船腹調整下に船舶の近代化を促進するために,特定船舶整備公団による代替建造が前年の2倍の規模で行なわれることになつた。さらに内航標準運賃についても海運造船合理化審議会で基本方針が審議され,その設定の作業が進められている。
  昭和39年度は,経済全般の不振を反映して、年度後半から内航輸送量も減少傾向を示し,昭和33年以降順調に伸びて来た輸送量も前年に比べ減少することとなつた。この傾向は昭和40年度にも持ち越されることが予想され,昭和39年に第一歩を踏み出した内航海運の再建の前途にはさらにきびしい要因が加わつてきている。


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