7 内航海運組合の強化


  内航海運組合の組織化は,内航海運組合法施行後急速に進められ,39年10月以来,逐次全国組織の海運組合が設立され,従来から全国組織であり,内航海運組合法により改組した全国海運組合連合会を含めた次の5組合の結成により,内航海運業者の全てが,これら5組合のいずれかに参加することのできる態勢が整えられた。40年6月におけるこれら5組合の概要は 〔II−(I)−18表〕のとおりであり,船腹量で8割をこえる組織化が行なわれている。

  本年当初からこれら5組合を結集した総連合会結成のための準備が進められてきたが,9月27日全国の内航海運業者を打つて一丸とした日本内航海運組合総連合会の創立総会が行われた。しかし,組織作りと平行してさらに強調されなければならないのは,組合としての機能の強化である。現在までは組織作りが急がれたために,組合としての地道な活動の体制は未だ十分ではないが,内航大型船輸送海運組合が,従来の運賃同盟の基盤のうえに,長期間にわたる石炭業界との折衝の結果,北海道からの石炭輸送について,ラン条件を統一した調整運賃の実施の体制を整えたことは,今後の進むべき一つの方向を示唆するものとして重要な意義を有するものである。海運組合の調整運賃は,従来,九州及び南国地方の5組合がそれぞれ北九州-阪神間に,木船による石炭運賃を設定していたほか,地域的な10海運組合において,木材,食品等の地域的輸送について設定していたにすぎないが,今後は後述する標準運賃との関連のもとに,関係荷主側との話し合いのうえで,組合の連携によつて主要航路,貨物にいて逐次設定していくことが必要である。さらに,現在は最高限度の設定により,いわば法制的に進められている船腹調整を組合が自主的に行なつていく体制の確立が望まれる。組合の機能強化は,上記のような調整的な面のみでは決して十分とはいえず,いわゆる共同事業の積極的な実施によつて,組合としての財政基盤の強化を図ることを忘れてはならないであろう。これら両面を兼ね備えた組合の強化は,実質的な企業集約の効果をあげるものであり,内航海運の地位を向上させるものである。


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