4 事業の現状


  旅客航路事業者を経営形態別に分類すると 〔II−(I)−24表〕のように個人経営又は小資本の法人によるものが大部分を占めており,1事業者の経営規模も,平均,1.5航路,2.8隻と少く,とくに個人経営のものは,ほとんどいわゆる1ぱい船主となつている。

  旅客航路事業では,旅客及び手小荷物の運賃は認可制となつており,いわゆる公共料金として値上げには強い規則が加えられており,また,貨物運賃は届出制であるが,内海航路の不況により運賃水準は低位に置かれている。観光航路では若干の輸送の伸びがみられるものの,一般的には離島住民の減少や沿岸の道路整備の進捗によつて,輸送需要が停滞しているため,旅客航路事業の収入は,伸び悩みの状態にある。
  一方,支出面では,船員費,陸上職員費など人件費の増加を中心に,物価水準の上昇に伴う諸経費の増加がみられ,しかも,老朽船の補修や代替建造も貴重な人命の安全上,ないがしろにすることはできない。
  こうして 〔II−(I)−25表〕に見るように,昭和38年度における旅客航路の損益は,観光航路など収益性の高いものを含めた全航路の総計でみても費用/収入が97%という低収益の状態にあり,昭和39年度においては,これがさらに悪化するおそれがある。これに対しては,経営の合理化を一層推し進める必要があるが,旅客航路事業者の大部分は,零細企業であつて,従業員の給与水準も低く,その他の諸経費もすでに最小限に押えられており,これ以上の合理化の余地は少ない。ただ,若干の地域では,数事業者が平行した航路で無用な競争を行つているので,これについては,事業の集約統合を行ない,重複による無駄を省いて経費を節減するとともに,企業基盤を強化することが望ましい。瀬戸内海地域においては,昭和39年以来,こうした方向で行政指導を行ない,すでに1〜2の地区で集約会社の発足を見ているが,今後は,他の地域においても,集約化の方向に進むことが必要である。


表紙へ戻る 次へ進む